米マックルーマーズや米BGRなど海外メディアの報道によると、米アップルが今年(2017年)市場投入する予定の、iPhoneの10周年モデルには、現行モデルに採用されている指紋認証機能「Touch ID」が廃止される可能性があるという。

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新たな指紋認証技術で苦戦

 アップルは「iPhone 8」の名称で噂されるこの新モデルで、デザインを大幅刷新し、本体前面のほぼすべてをOLED(有機EL)ディスプレーが覆うデザインを採用すると見られている。

 これにより、物理的なホームボタンは廃止され、その機能はディスプレー上で提供される。また、現在ホームボタンが兼ね備えているTouch IDセンサーは、ディスプレー表面下に組み込まれる。

 このためアップルは、Touch IDセンサーを現行の静電容量方式から光学方式に変更する。しかし、米投資銀行パシフィック・クレスト・セキュリティーズのアナリスト、アンディー・ハーグリーブス氏によると、光学方式センサーには製造上の問題があり、実現するのが困難な状況だという。

 アップルは引き続きこの問題に取り組み、やがては解決されるもの見られるが、その場合iPhone 8は、発売時期が遅れる可能性があると同氏は指摘している。

 ただ、もしアップルがこれを解決できない場合、同社はiPhone 8にTouch IDを搭載せず、前面カメラ(自分撮り用カメラ)に組み込まれる顔認証/虹彩認証技術で、各種の認証機能を行うと、ハーグリーブス氏は報告している。

著名アナリストも顔認証/虹彩認証を予測

 今回のニュースに先立つ今年2月、アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しい台湾KGI証券の著名アナリスト、ミン・チー・クオ氏も同様の予測をしていた。

 クオ氏によると、次期iPhoneの前面カメラには、従来と同じカメラモジュールのほか、画像の立体(3D)情報を得るための2つの赤外線モジュールが搭載される。

 これにより、前面カメラで被写体の構成要素のそれぞれの位置や奥行きといった立体情報が得られるようになり、これが顔認証や虹彩認証に利用できるのだという。

 またクオ氏は、将来のiPhoneなどでは指紋認証が廃止され、代わって顔認証システムが導入されるとも指摘。この顔認証システムは、iPhoneのアンロックをはじめとするさまざまな認証処理を行うという。

 ただ、クオ氏は、まだ技術的な課題が予想されるため、iPhoneは、ある一定期間、指紋認証と顔認証の両方式を採用するだろうとも指摘していた。

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革新的な代替機能

 一方、パシフィック・クレスト・セキュリティーズの今回の報告によると、顔認証、虹彩認証を実現する3Dセンサーの開発状況は順調に進んでおり、iPhone 8で実現可能な代替機能になる可能性があるという。

 ハーグリーブス氏は今回出した調査ノートで、「部品メーカーは、アップルの3Dセンサー技術について、高速で信頼性が高いことを示唆している」と指摘。

「もし、その正確性と信頼性が確認できれば、3Dセンサーを使った生体認証は、現在広く普及している指紋認証に取って代わる革新的な機能になる」(同氏)という。

 なお、アップルが2017年に発売するiPhoneには、合計3モデルがあり、iPhone 8はその最上位モデルに位置付けられるとの観測が出ている。

 別のアナリストである米コーエン・アンド・カンパニーのティモシー・アーキュリ氏は、このiPhone 8について、指紋認証センサーをディスプレー表面下に組み込むことは、歩留まり悪化の問題につながると報告している。

 アーキュリ氏は、アップルがこの問題を解決できない場合、3つのシナリオが考えられると指摘。そのうちの1つは、指紋認証が廃止され、顔認証/虹彩認証機能のみが搭載されるというもので、上述したハーグリーブス氏の予測と一致する。アーキュリ氏はこのほか、指紋センサーが本体背面に配置される可能性も考えられると、報告している。

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筆者:小久保 重信