中国で大人気の花王「メリーズ」(Tungstar/アフロ)

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 花王が消費財メーカーとして初めて、「2000億円企業」に仲間入りする。2017年12月期(国際会計基準)の連結営業利益が2000億円の見通しなのだ。

 営業利益は、本業の儲けを示す。日本経済新聞調べの15年度営業利益ランキングによると、2000億円超は40社あった。トヨタ自動車の2兆8539億円を筆頭に、NTT、ソフトバンク、KDDI、日産自動車、NTTドコモと続き、上位は自動車と通信が占めている。花王は1643億円で55位だった。

 日用品・消費財メーカーは価格競争が厳しく、高い収益をあげるのが難しい。こうしたなかで花王は、2000億円の大台に乗せる快挙を達成する。
 
花王の16年12月期の連結営業利益は、前期比10.9%増の1855億円。決算期の変更(3月期から12月期へ)、会計基準の変更(日本基準から国際会計基準へ)を考慮すると、11年3月期以来7期連続の実質増益となる。売上高は1.1%減の1兆4576億円だったが、為替変動の影響を除くと、実質では3.2%増だったと会社側は説明している。

 国内首位の日用品販売が好調だったことが大きな要因だ。利益率の高い洗顔料「ビオレ」や食器用洗剤「キュキット」などが売れた。これらコンシューマープロダクツ(消費財)事業の国内売上高は前期比2.1%増の9430億円、営業利益は14.3%増の1320億円。カネボウを買収後、苦戦してきた化粧品事業の営業利益が前期の97億円の赤字から40億円の黒字に転換したことも大きかった。

 消費財事業の営業利益の15%を占める海外事業では、生活水準が向上しているアジアが伸びた。為替変動の影響を除く実質の売上高伸長率は中国が24%増、ベトナムも24%増、インドネシアが19%増だった。特に紙おむつ「メリーズ」が人気だ。

 17年12月期の連結売上高は1兆4700億円と0.9%の微増にとどまるが、営業利益は2000億円と7.8%増の見通しだ。スキンケア商品「キュレル」や洗顔料「ビオレ」、衣料用洗剤「アタック」などの定番品で付加価値を高めた新商品を積極投入し、販売単価引き上げることに成功した効果が出る。

 16年12月期の消費財事業の売上高営業利益率は12.7%と、その前の期より1.5ポイント高まった。17年12月期の年間配当は、前期比14円増の108円を計画している。28期連続増配は上場企業で最長である。

 株価は堅調に推移している。16年末(12月30日)の終値は5541円だったが、年度末の17年3月31日のそれは6104円で、10.2%上昇した。

●売上高世界5位入りを目指す

 花王は好業績を背景に、強気の中期経営計画を打ち出した。30年までに売上高は15年比7割増の2兆5000億円、営業利益率を15年の11.2%から17%に引き上げ、海外の売り上げ(1兆円超)比率を現在の35%から40%に高める。売上高では、現在の世界7位から5位以内に入ることを目指すという。

 短期の目標として、20年までの売上高の年平均成長率を5%とし、営業利益率15%とする。「メリーズ」に加えて「アタック」「ビオレ」を、年商1000億円を超えるメガブランドに育てる。

 そんな花王にとって、白斑問題で急ブレーキがかかったカネボウ化粧品の業績が頭の痛い問題だ。化粧品事業は、ブランドの刷新や新製品の投入で20年まで売上高3000億円、営業利益率10%を目標にする。16年12月期の実績は、売上高が2548億円、営業利益率が10%だった。

 海外展開を加速させており、12年12月決算から欧米企業と同じ12月決算に移行し、国際会計基準に変更した。だが、グローバル・マーケットでは世界大手との競争が激しい。トイレタリー(ヘアケア・ボディケア商品など)部門では、“巨人”と呼ばれる年商10兆円を超す米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がおり、化粧品部門では3兆円企業の仏ロレアルが先を走っている。

 20年12月期の営業利益は、今期予想(2000億円)比28%増の2550億円を掲げる。28期連続増配の記録を更新し続けることができるかに注目が集まる。
(文=編集部)