早くも人気が沸点突破?仮面ライダーアマゾンズSeason2にみる、Amazon独占配信の強さの秘密と懸念点とは

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2016年にAmazonプライム・ビデオ オリジナル作品として配信され、過激な映像表現や、謎が謎を呼ぶ重厚なストーリー展開でネット上の話題をさらった「仮面ライダーアマゾンズ」。
その後、地上波のテレビ東京でも放送され、続編の開始が待たれていました。

その待望のSeason2は、4月7日よりAmazonプライム・ビデオで配信がスタートし、1st Season以上にファンの期待を集めています。

「仮面ライダーアマゾンズ」は、2016年を仮面ライダー生誕45周年、「スーパーヒーローイヤー」とした東映が、新たに制作した仮面ライダーシリーズの作品です。

1974年に放送された「仮面ライダーアマゾン」は、仮面ライダーシリーズ最大の異色作と呼ばれていました。

現在のAmazonプライム・ビデオ オリジナル「仮面ライダーアマゾンズ」は、1974年放送の「仮面ライダーアマゾン」を元としながらも、設定とストーリーを一新した「リブート」作品です。

「仮面ライダーアマゾンズ」のSeason2は、前作Season1から5年後の世界が舞台。
アマゾンに育てられた少年・千翼(仮面ライダーアマゾンネオ)と、アマゾンに殺され生体兵器として蘇った少女・イユ(カラスアマゾン)を中心とした仮面ライダーでは初の試みとなるジュブナイル恋愛ストーリーが展開されています。

■カスタマーレビュー5つ星のうち4.1の高評価!人気の秘密は?
Season2は、現在2話まで配信されていますが、すでにAmazonのカスタマーレビューでは5つ星のうち4.1の高評価を獲得しています。

レビューでは
・もう早く続き見たくて見たくてたまらない。シーズン1といい、こんなに続き気になる作品はなかなかない。
・シーズン1に続き、シーズン2も重々しい雰囲気で大人向け仮面ライダーとして申し分なし。
・テレビシリーズの仮面ライダーも面白いですが、アマゾンズは大人のための仮面ライダーと呼ぶに相応しい作品だと思います
・完全に地上波を意識して無い造りとなっており、地上波で出来ないシーンをありったけ精いっぱい詰め込んだ感じ。

などSeason1に引き続き、ダークで尖った演出が光った昭和や平成初期の「仮面ライダーシリーズ」を観ていた大人ユーザーたちからも絶賛の声が上がっています。

人気の秘密の1つは、地上波で味わえない、ネット配信オリジナルだからこそ実現できる、過激で、重厚で、ハードなストーリーです。

本作のプロデューサーである東映・白倉伸一郎氏が、最近の仮面ライダーシリーズは、
「個人的には、ここ数年あまりおもしろいと思っていない」
「もう一度(仮面ライダーに)トゲをもたらしたい」
と語っているように、本シリーズのアマゾンたちは、人間を食べるという衝撃的なストーリーを生み出しています。

Season2の主人公・千翼は、食人衝動を抑えながらアマゾンに変身して、不良集団とともにアマゾンを狩り、アマゾンを生み出した製薬会社と政府が共同で設立した特殊機関とも対立する状況が、この先の展開が予測できない面白さを視聴者に与えているようです。

単純な善悪の対立ではなく、生物と組織、善と悪が混沌として絡むストーリーは、読者レビュー通り、はやく続きが見たいと思わせてくれます。


人気がさらに上がっている、もう1つの理由は、地上波では規制がかかりそうなハードなアクションと描写です。

Amazonプライム・ビデオの公式ページには、

「本作品には、一部バイオレンス・シーンが含まれております。未成年の方のご鑑賞に当たりましては、保護者の方の適切な配慮をお願い致します」

との記述があるように、ワイヤーアクションを駆使した戦闘シーンでは、アマゾンが腹を貫かれたり、腕を切られて出血したりするリアルな描写が登場します。さらにはアマゾンが人間を捕食する衝撃的なシーンまでも描かれています。

■「Amazon」に「アマゾン」を提案しプライム・ビデオでの配信が決定
地上波のテレビ放送では、企画が通りそうもない「仮面ライダーアマゾンズ」。

どうして、
Amazonプライム・ビデオで配信されることになったのか?

プロデューサーである東映・白倉伸一郎氏によると

Amazonプライム・ビデオが日本でもスタートすると耳にし、半分冗談でAmazonに提案してみたところ、Amazon側は「そんなドンピシャなタイトルがあるんだ」と反応がかえってきて決まったようです。

Amazonには「日本最大のBD/DVD販売実績と、その膨大な顧客データ」があり、その膨大なビッグデータから「アマゾン」関連商品の動きがいいことを掴んで、「いける」と判断したといいます。


■人気を狙う?ビッグデータ中心でコンテンツが作られる懸念点
現在、定額制動画ストリーミングサービスは、Amazonプライム・ビデオをはじめとして、Netflix、Hulu、dTVなど、各社がシェア争いでしのぎを削っています。

その最大の切り札が、独占配信できる「オリジナル作品」です。
各社ともに、既存の放送局や他企業とのコラボを手がけるなど、そうとうな力を入れて取り組んでいます。

Amazonジャパンの月間アクティブユーザーは4800万人、そのうち600万がプライム会員とみられています。
同社のコンテンツ事業本部長を務めるジェームズ・ファレル氏は、
「ここにくれば好みの番組が必ず見つかるという場所にしたい」
とコメントしています。
どんな作品を制作するのかについては、視聴者数やユーザーのコメントから判断されるそう。

そんなプライム・ビデオには、「仮面ライダーアマゾンズ」のほかにも、

・ダウンタウン 松本人志さんが手がける「HITOSHI MATSUMOT presents ドキュメンタル」は、10人の芸人が各100万円を持ち寄り、勝者が総額1000万円を総取りするお笑いバトル。
・「バチェラー ジャパン」は、世界的な人気恋愛番組の日本版 25人の女性が1人のイケメン男性を奪い合う玉の輿バトル。

など、ネット上でも話題となるオリジナル作品を次々と制作しています。

地上波にはない、尖った企画、演出、描写により、これまでにない面白さ、刺激が、視聴者の気持ちを掴んだと言えるでしょう。

しかし、人気が上がれば、上がるほど、批判もまた出てきます。

「ドキュメンタル」では、複数人が金銭を持ち寄り、勝者が総取りする企画は、「賭博なのでは?」との批判もあります。
「バチェラー」では、女性たちが男性の機嫌を取り気に入られようとするのが「まるで水商売のよう」との声もあります。

購買数や購買層、視聴者数のデータからコンテンツを制作することは、以前から行われていた手法の一つです。

しかし、ネット時代となった現在は、以前では比べものらないほど、膨大なデータの蓄積と、詳細で精密なデータの分析によって、極めてピンポイントで視聴者の嗜好を刺激する「番組」を作れるようになったということなのかもしれません。

「視聴者にウケる」「売れるコンテンツ」を制作することは、決して悪いことではありません。いつの時代も、冒険し、挑戦することで、面白いコンテンツは生まれてきます。

ただし、過去にも、超えてはならない一線を越えて、社会的な問題となった事例や事件も数多くあるのも事実です。

ネット動画配信の面白く、刺激的な作品の数々は、視聴者ユーザーにとっても、大きな宝です。
是非、エンタテインメントの一線を見誤らず、面白い作品を生み出し続けて欲しいものです。


磯崎 新