いい音が欲しい。それも、できるだけ安い価格でいい音を奏でてくれるイヤホンが欲しい。音楽好きなら誰もが抱く願いでしょう。

 

その願い、叶うかもしれません。1MORE(ワンモア)の「E1010」で。

↑1MORE「E1010」

 

1MOREという名前をご存じない方もいるでしょう。でもXiaomi(小米科技、シャオミ)という名前は見聞きしたことありませんか? 2010年に中国・北京で創業したスマートフォンメーカーで、低価格ながらスタイリッシュかつハイパワーなモデルを多数リリースすることで人気を高めていった企業です。そのXiaomiが持つイヤホンブランドが1MORE。やはり、低価格かつ高音質、そしてデザインにも注力したイヤホンを開発しています。

 

一部の、でも世界中のイヤホンマニアのあいだで1MOREの製品が話題となったのは2014〜2015年ごろのこと。20ドル(当時の日本円で2400円ほど)で販売された「Piston2」というモデルの音質が極めて高く、コストパフォーマンスの高さから個人輸入する人が続出。さらに、どこからともなく安価な偽物も多数販売される(2400円ほどのイヤホンが、ですよ!?)という事態を引き起こしました。

 

そして「優れたヘッドホンやイヤホンを、驚くほど手頃な価格でお客様にお届けする」という理念を掲げていた1MOREは、いままでに培ってきた技術を用いて高級モデルの開発に着手。2016年にはダイナミックドライバー1基+BAドライバー2基のハイブリッドイヤホン「E1001」をリリースしました。価格はなんと1万3820円! 他メーカーの製品ならば3万円以上はする構成で、この価格です。掛け値なく、世界中のポータブルオーディオファンの間に衝撃が走りました。

 

超高級イヤホンに匹敵するゴージャス仕様の「E1010」

そして2017年4月。さらなる極みを目指す「E1010」がe☆イヤホンの国内先行販売としてリリースされます。構造はなんとダイナミックドライバー1基+BAドライバー3基のクワッドドライバー。しかもダイナミックドライバーには、新開発のDiamond-like Carbonコーティングを施しています。

↑E1010のパッケージ

 

誰もが装着できるユニバーサルタイプではほぼ例がない構造。耳型を作るカスタムIEMであれば15万円はかかる仕様だというのに、お値段は1万9980円です。ケタ、間違っていません。

 

再⽣周波数帯域は20Hz〜40kHz。⼊⼒インピータンスは32Ω。出力音圧レベルは99dB。スマートフォン単体でも鳴らせますが、フルに駆動させるにはポータブルヘッドホンアンプもしくは、駆動力の高いデジタルオーディオプレーヤーを使ったほうがいいでしょう。

 

豪華なパッケージを開くと、これまたゴージャスな付属品の数々が登場します。重ねて書きますが、2万円以下のイヤホンのパッケージではありません。

 

付属品は専用ケース、クリップ、航空機用アダプタ、ステレオミニプラグ→ステレオ標準プラグ変換アダプタ、マニュアルとシール。そして5サイズ(10/11.5/12/13/14.5mm)のシリコンイヤーピースと、3サイズ(11/13/14.5mm)のフォームチップが付属します。

 

シリコンイヤーピースはキノコのような傘を持つタイプのイヤーピースです。音の抜けがよく、広い音場表現が得意。装着時の圧迫感も控えめで、長時間つけていても負担になりにくい特徴を持ちます。「E1010」に付属しているシリコンイヤーピースの傘部分は比較的厚手ゆえ、正しくサイズを合わせたいところ。人によっては左右の耳の穴のサイズが異なりますが、せっかく5サイズも付属しているので微調整したいところですね。

 

フォームチップは低反発ウレタンを用いたイヤーピースです。指でちょっとつぶして耳の穴にいれると内部で膨らみ、隙間を埋めます。音の抜けが悪くなる反面、密度が高まり、ボーカルも一歩前に近づいてくれるかのように聴こえます。ゆえに小さいサイズではなく、やや大きめのサイズを選ぶのがコツです。

↑手前左がシリコンイヤーピース、右がフォームチップ

 

本体からイヤーピースを外してみました。軸部分は太めで、ゴミの侵入を防ぐ大口径のフィルターがついています。また軸には角度がつけられており、耳穴内部にカーブがあるアジア人に合わせた作りになっていることがわかります。

 

ケーブルはケブラーファイバーを用いたOFC(無酸素銅)ケーブルを採用。高い耐久性を誇ります。なお小さく丸めるとクセがつきやすいケーブルなので、扱いには注意が必要です。

 

ケーブル途中につくリモコンはiOS、そしてCITA規格採用のAndroid用。各ボタンはボリュームと再生/停止に使います。またリモコン背面にはマイクが備わっており、イヤホンをかけたまま通話できます。

 

高密度なトーンでオールジャンルにマッチする音

ではさっそく試聴してみましょう。プレーヤーにはAstell&Kernの「AK70」を使いました。

 

今期のスマッシュヒット曲として、まずは、どうぶつビスケッツ×PPP「ようこそジャパリパークへ」(48kHz/24bit)を鳴らしてみました。16分音符を刻んでいく機関銃的なドラムスとピアノの1音1音が立っています。アタックの1つ1つをしっかりと拾い上げているからクリアで見通しがいい。その上で高周波の微細な動きも取り逃していません。余韻成分も耳にまで届く。ベースのゲインは控えめですが存在感は強め。ジャジーな雰囲気のあるメロディラインも輪郭が鮮やか。数多の音を複雑に組み合わせたリッチな構造の曲ということが伝わってきます。

 

タイトなドラム、そしてハイスピードなフレーズの表現力が高いことから、→Pia-no-jaC←「残月」(96kHz/24bit)も聴いてみることに。ピアノとカホン、2つの楽器だけで演奏されているとは思えないほどの音の層。アルペジオの音がすべて見えてきますし、カホンの叩きも目に浮かぶ。音場の再現性のみならず、アーティストの動き、しいてはパッションも伝わってきます。密度が高く、重心が低い地に足がついた音ながらキレもいい。多ドライバー機でありながら重低音を無理には引き出さないバランスが、瞬発力の高い音を生んだのでしょう。

 

中低域に多くのエネルギーが集中した結果、高域はやや地味に聴こえます。しっかりとした構造のフィルターが高域をスポイルさせていることもあるでしょう。でも倍音成分も含めて正確にリズムを刻んでいますし、耳なじみの良い音にまとまっていることもあり、好印象。ほかにも様々なジャンルの曲を聴きましたが、破綻した曲がないことにも驚きました。理路整然と高音質を追求した結果の優等生サウンド。日常でも積極的に使いたくなるプライスですし、これは名機となる予感がします。

 

ただしハウジング内の空気をスムースにコントロールするため、各部に通気口が穿たれています。はい。音漏れは多めです。通勤通学電車、バス内での大ボリューム再生にはお気をつけください。