横綱や大関でも蜂窩織炎に苦しむ(写真は国技館)

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プロレスラーとして活動する元横綱・曙太郎が緊急入院した。「救急搬送」「薬で眠っている状態」と報じられたため、インターネット掲示板では「病状が深刻なのか」と心配の声が出ていた。

だが、曙が代表を務めるプロレス団体「王道」は、病状について「右脚蜂窩織炎と感染症」と発表。この病気、体験者のブログを読むと、歩けなくなるほどの痛みを伴うつらそうな症状だ。

日馬富士はじめ力士が悩まされる

「王道」公式サイトは2017年4月17日付で、曙が蜂窩織炎(ほうかしきえん)と感染症のため療養中と明らかにした、一方で、「一部報道による誤解を招くような記事」を完全に否定した。現在、完治に向けて療養しているという。

皮膚科医やクリニックの複数のサイトが、蜂窩織炎について説明している。そのうち、東京・五本木クリニックのサイトを引用すると、「細菌感染によって起こる、皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての化膿性感染症」だ。原因となる細菌は主に黄色ブドウ球菌だが、化膿連鎖球菌など他の細菌の場合もある。下腿(ひざから足首)や足の甲に発症しやすい。

同サイトによると、最初に広い範囲に渡って赤く腫れあがり、熱感や痛みを伴う。悪化すると発熱し、悪寒や関節痛が出てくる。さらに進むと「ぶよぶよしてきて、膿が出ることもあり、また皮膚が破れて膿や壊死した皮膚組織が流れ出て、深い潰瘍ができることも」ある。深刻化すると「広範囲に組織壊死を生じ、壊死性筋膜炎や菌血症を引き起こし、生命に危険」というから、決してあなどれない病気だ。

曙は現在プロレスラーだが、かつては大相撲で活躍した。実は力士が蜂窩織炎に悩まされるケースがしばしば起きている。現役では横綱・日馬富士が2016年の初場所前に一時入院していた。大関・照ノ富士も2015年にけいこを休み、点滴治療を受けていた。

2009年7月の名古屋場所を最後に引退した元大関・出島(現・大鳴戸親方)の場合、蜂窩織炎が力士人生に大きく影響した。読売新聞「HAKUMON Chuo」2010年春季号に掲載された本人のインタビューを読むと、大関昇進後に重度の蜂窩織炎で「死にかけました」「熱がずっと下がらなくて、42度台が3日間くらい、40度以上は2、3週間続いたんじゃないですかね。退院してからも38度台はずっとあったんです」と回想していた。1か月の入院を余儀なくされ、その後大関から陥落した。

足を心臓の位置より高くして安静に

もちろん力士に限らない。記者の兄も2007年に蜂窩織炎と診断され、入院した。最初に自宅で左足に痛みを覚えて、病院で治療を受けた。投薬により一時治まったかに見えたが、今度は右足首に感染して入院するしかなくなった。炎症はあっという間に広がり、歩行不能になるほどの激痛、そして40度近くの高熱が2日間続いたという。

入院中は、足の下に枕を置いて、足を心臓の位置より高くして安静にしていたという。あわせて、腫れた個所を冷やし続けた。点滴による抗生物質の投与は1日3回、規則正しく行われたという。先述の五本木クリニックのサイトによると、こうした治療で通常は2週間前後で快方に向かうようだ。ただ記者の兄は、退院後も、投薬や「足を高くして寝る」をしばらく続けた。結局最後まで、はっきりした原因は分からずじまいだった。

ほかにインターネット上で公開されている蜂窩織炎の体験談を読んでも、足への激痛を語る内容は少なくない。曙を巡る報道で「救急搬送」とあった。この点、曙の所属団体は特に触れていないが、歩けないほどの痛みに襲われたとしたら、自力歩行ができずに救急車で運ばれたとしても不思議ではない。