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■どんなクルマ?

スポーティなエクステリア

ボルボ渾身のニューモデル、90シリーズ。ドイツのブランドでいえば、メルセデスEクラスやBMW5シリーズ、アウディA6に相当するクラスのモデルだが、日本にはまずSUVのXC90が導入され、次いでセダンのS90とステーションワゴンのV90が発売された。そのS90、V90に最近加わったバリエーションが、R-デザインである。

R-デザインのエクステリアは、すでに発売されている90シリーズのインスクリプションと比べると、フロント・グリル、同バンパー・スポイラー、ホイール、ドア・ミラー、サイド・ウインドー・モール、リア・バンパー・スポイラーなどのデザインが異なる。

それらの結果、R-デザインのエクステリアはインスクリプションよりぐっとスポーティな印象に仕上がっているが、それによって、90シリーズのデザインが持つスタイリッシュさが一段と際立って見えるような気がするのは、筆者だけだろうか。

硬派なイメージのインテリア

インテリアも同様にスポーティに仕立てられている。具体的には、インスクリプションではウッド・パネルになるダッシュボードの一部がブラックのカーボン仕上げになったり、シートもブラックが基調のスポーツ・シートが標準になったり、といった具合だ。

ちなみにV90 T6 AWD R-デザインのボディ・サイズは、全長4935×全幅1880×全高1475弌▲曠ぁ璽襯戞璽2940个箸いΔ發里如特に前後方向に伸びやかな印象をうける。

強化された足まわり

R-デザインはT6 AWDがベースだから、エンジンはいうまでもなく2ℓ直4ターボ&スーパーチャージャー・ユニットを搭載、320psのパワーと400Nmのトルクを発生し、8段ATを介して4輪を駆動、1840kgの車重を走らせる。

パワートレインに関してはインスクリプションと共通だが、R-デザインらしさはシャシーに表現されている。90シリーズのサスペンションはフロントがコイルのダブルウィッシュボーン、リアがコンポジット・リーフ・スプリングによるマルチリンクだが、それが専用のスポーツ・サスペンションに変更されている。

具体的には、フロントのコイル・スプリングとリアのリーフス・プリングがノーマル比およそ50%プラスのバネ・レートを持つ強化型に変更され、ダンパーも変更、さらに前後のスタビライザーも強化型を装備。それに加えて、電動パワー・ステアリングもスポーツ・チューンされる。

インスクリプションのリアにはエア・サスペンションも選択可能だが、R-デザインはすべてリーフ・スプリングになるのも相違点のひとつ。一方、R-デザイン専用の20インチ・アロイホイールに履くのは、255/35R20サイズのピレリPゼロである。

■どんな感じ?

カーボン・トリムがスポーティさを強調

派手なようで落ち着いてもいる、微妙なブルー・メタリック系のボディのV90 R-デザイン。コクピットに収まると、標準装備のブラックのレザー張りバケット・シートが、身体をしっかりと包み込んで、そのキャラクターがスポーティ方向にあるのを実感させてくれる。

ダッシュボードの随所に黒いカーボン・トリムが目につくのもスポーティさを強調するが、いかにも北欧風のウッド・パネルも捨て難いものがあるので、できればオプションでそっちの選択も可能ならもっといいと思うが、それは無いものネダリというものだろう。

硬いもののスムーズなサスペンション

プッシュ・ボタンではなく、コンソールにある大きめのダイヤルを捻るという変わった方法でエンジンを始動し、8段ATのセレクターをDレンジに入れて走り出す。そこでまず意外だったのは、スプリングもダンパーもスタビライザーも強化されているというスポーツ・サスペンションのスペックから想像するよりも、乗り心地が快適なことだった。

もっとはっきりいえば、2カ月ほど前に乗ったT6のインスクリプションより、R-デザインの方が乗り心地はいいと感じた。硬いとはいえサスペンションの動きは適度にスムーズなもので、強い突き上げもなく、姿勢がフラットに感じられるのも好ましい。

ワインディングでも軽快

さらに、前回の試乗ではチャンスがなかったワインディング・ロードに攻め込んでみると、このクルマのもうひとつの美点が見えてきた。その日は生憎の雨だったにもかかわらず、V90 R-デザインはへヴィ・ウエットなターンパイクを、思いの外に軽快なフットワークで、危なげなく走り抜けてみせたのである。

AWDを含むもともとのシャシーのポテンシャルに、R-デザインのスポーツ・サスペンションが磨きを掛けているのに加えて、R デザイン専用にセッティングされたステアリングも不足なく路面のフィールを伝えてくる。本気で飛ばすモデルではないが、頼りになるフットワークを持った、気持ちよくペースを上げられるクルマに感じられた。

その他、充分な居住スペースと、使い易そうなラゲッジルーム、必要にして充分以上に力強いパフォーマンス、といったファクターは、V90 T6 AWDが本来備えているものを、当然ながらすべて受け継いでいる。

■「買い」か?

気持ち良いドライビングを望むなら

ボルボV90 T6 AWD R-デザインのプライスは、8%の消費税込み769.0万円と、同じV90 T6 AWDのインスクリプションより、ちょうど30万円安い。しかも上記の「どんな感じ?」に書いたように、ドライビング感覚はよりスポーティであると同時に、乗り心地も快適でさえある。

そこでまずはV90 T6 AWD同士の話をすれば、インテリアの仕上げのラグジュアリーさよりも、運転感覚の気持ちいいクルマを好むというドライビング好きには、インスクリプションよりもR-デザインを、自信を持ってオススメしたいと思う。つまりR-デザイン、「買い」である。

安全装備すべてが標準

一方、ドイツ御三家をはじめとする他ブランドの同クラス車と比べるとどうかという話になると、まず前記の769.0万円というプライス、数字だけを見ると特に安い方とはいえないかもしれない。ところがボルボの場合は、他社ではオプションになっていることも少なくない安全装備や豪華装備が、すべて車両本体価格に収まっているのがポイントであるらしい。

実際、今回試乗した広報車も、オプションを一切装備しておらず、広報車プライスが車両本体価格とまったく同じ769.0万円のクルマだった。これは、場合によっては数百万円のオプションを備えていることもある他社の広報車と比べると、かなりレアなことだといえる。

そういった事実も、このスタイリッシュなEセグメントのステーションワゴンを「買い」とするかどうかを考える際の、一助になるかもしれない。本当に「買い」かどうかは、当然ながら最終的には買い手が決めるべきことだと思うからだ。

ボルボV90 T6 AWD R-デザイン

■価格 7,690,000円 
■全長×全幅×全高 4935×1880×1475mm 
■ホイールベース 2940mm 
■乾燥重量 1840kg 
■エンジン 直列4気筒1968ccターボチャージャー+スーパーチャージャー・ガソリン 
■最高出力 320ps/5700rpm 
■最大トルク 40.8kg-m/2200-5400rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック 
■サスペンション ダブル・ウィッシュボーン / マルチリンク 
■ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク 
■ホイール+タイヤ 8.5J x 20 + 255/35R20 
■燃費(JC08モード) 12.5km/ℓ