『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(c)関西テレビ

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 小栗旬×西島秀俊による春ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(関西テレビ制作・フジテレビ系の火曜21時ドラマ枠)が放送開始となり、まるで映画のようなクライムサスペンスと本格的なアクションが話題だ。初回視聴率も13.8%、関西では18.4%と好調な滑り出しを見せており、中でも「あのかわいい女優は誰?」「もっとビンタ強く叩いて!」と何かと注目が集まっているのが、特捜班の紅一点である大山玲役の新木優子。モデルとして活躍する一方、近年はドラマや映画で主役を務めるなど、いま注目の若手女優のひとりである。彼女の過去作を紐解き、今までに見せたことのない新たな役に挑戦している新木の魅力について考察したい。

参考:西島秀俊&小栗旬『CRISIS』のアクションがスゴい! 豪快さの中に漂うオトコの色気

 新木は1993年生まれの24歳。2014年より雑誌「non-no」の専属モデルで女子中高生たちの人気者になり、2015年の「ゼクシィ」8代目CMガール(7代は広瀬すず、9代は吉岡里帆)で大きく注目され、「ガスト」や、au「Hello, New World.」など多くのCMに出演。この2、3年でブレイクした印象を受けるが、芸能界入りは小学生の時に原宿でスカウトされたのがきっかけであり、けっこう下積みが長かったとも言える。2007年に森山直太朗 『太陽のにほひ』のMVで芸能界デビューを果たし、2008年14歳の時に『錨を投げろ』で映画初主演。モデルの印象が強い新木だが、実は女優業が先なのだ。

 「non-no」でブレイクする以前にも『告白』や『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』などの映画に出演していて、中でも印象深かったのが、2013年の『スクールガール・コンプレックス-放送部篇-』。森川葵や門脇麦などのブレイク前夜の若手女優たちによる女子校を舞台にしたガールズラブな展開を見せる青春劇で、映画の原案でもある写真家青山裕企ならではの世界観を描く。新木は脇役で出番は少ないながらも、門脇との友達以上恋人未満の関係性で、映画冒頭から女子高生特有の戯れあう感じで後ろからハグをしてキスをしており、観客の心をグッと掴む。新木は、青山裕企の世界観へ一気に誘う美少女を演じているのだ。背が高くスラッとしたスタイルが魅力的な女性でありながら、一途なのに拒否されてしまう女子高生の淡い感じがとても似合い、女優としての存在感を垣間見せた作品であった。

 2015年からは、映画やドラマなどでさらに積極的に女優として活動をしていくことになった新木。不思議な5組の家族の物語で構成されたオムニバス映画『家族ごっこ』では2つの作品に出演。その中のひとつ、最貧乳は誰かを争う4姉妹を描いた『貧乳クラブ』では、芸能関係の仕事をしている4姉妹の設定で、新木は“姉妹で誰が最貧乳か論争”の火付け役という、小生意気なキャラクターでコメディに挑戦。上映イベントで監督から「オーディションで圧倒的に上手だった」と絶賛されると、「うれしいですけれど、貧乳ではないです」と笑って否定するユーモア溢れる一面も。

 主演を務めた2015年の映画『風のたより』や、2016年の映画『インターン!』などで、着々と女優としてのキャリアを積んでいった新木。ドラマでは、『監獄学園-プリズンスクール-』(TBS系)や、『家売るオンナ』(日本テレビ系)などで個性的な脇役も演じているが、やはり女性誌モデルのイメージが強くあってか『いつかティファニーで朝食を』(日本テレビ系)や、連ドラ初主演を務めた『ラブラブエイリアン』(フジテレビ系)など、ガールズトークもののドラマで活躍している。本来彼女が持つ、清楚で可憐な見た目と同時に芯の強さも兼ね備えた女性といったイメージが、役にハマるのである。

 そして女優として機が熟した2017年。1月に公開された映画『僕らのごはんは明日で待ってる』では、明るくポジティブな彼女を熱演。中島裕翔と、高校生から社会人までの7年間の恋を演じた。よくよく考えると、今まで女性に囲まれての役が多かった新木にとって男女の純粋な恋愛劇は珍しく、新たな一面とも言える。公開時の報知新聞のインタビューで「これまでは一つ一つの仕事をこなしていくことに必死だった。今年は、経験を生かすことができるように、もっともっと吸収する年にしたい。そのために、いろいろなことに挑戦していきたい」と答えていたが、それが実現したのが今回の『CRISIS』だといえよう。

 さて『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』は、『SP』シリーズなどの脚本を手掛けた直木賞受賞作家の金城一紀が、国家に危機をもたらす政治的事件やテロを秘密裏に捜査する「公安機動捜査隊特捜班」の活躍を描く、アクションエンターテインメント作品だ。元自衛隊員の稲見朗(小栗旬)と、元公安の捜査員・田丸三郎(西島秀俊)を中心に、班長の吉永三成(田中哲司)、樫井勇輔(野間口徹)、大山玲(新木優子)らが特殊班の主なメンバーで、警察庁警備局長・鍛冶大輝(長塚京三)直轄の秘密部隊である。

 新木演じる大山玲は、特捜班の中でも唯一の女性捜査員で、凄腕の元ハッカーでサイバー情報分析のスペシャリスト。かつては反権力の立場から官公庁や大企業のサイトへ不正アクセスを繰り返した過去があり、クールながらも心に闇を抱えている。実力派のベテラン俳優たちの中で唯一の女性というだけでも世間から注目されるのに、これだけ激しいアクションシーンの多いハードな内容だと、さらに高い演技力が要求される。

 初回放送では、小栗が新幹線の中から川に飛び降りて犯人を捕まえた時、新幹線から「おーい」と笑顔で手を振る姿が可愛かったと思えば、基本はクールなたたずまい。訳ありの横柄な被害者に戒めのビンタを放つのだが、ちょっと弱く、SNSを中心にツッコミの書き込みがあったにせよ、芯の強いかっこいい女性として存在感を見せつけていた。そのため、「non-no」や、新木が出演してきたこれまでの作品とは縁遠かった層からも高評価を得ている。

 これまでとは真逆の役柄を演じている新木だが、記者会見で小栗は「新木優子ちゃんがなかなかの“規格外”でした。男たちに囲まれた現場できっと緊張もしていたはずなのに、そんな姿は全く見せず一番どっしりしていました」とコメント。今後はアクションシーンもあるようなので、女優として新たな一面を見せてくれるだけではなく、ターニングポイントとなる作品かもしれない。

 今期はほかにも、テレビ東京のドラマ『100万円の女たち』にも出演。売れない小説家である道間慎(RADWIMPS野田洋次郎)が5人の謎の美女たちとひとつ屋根の下で暮らし、女たちは家賃兼生活費として毎月100万円を支払っているというミステリードラマ。松井玲奈、武田玲奈、福島リラ、我妻三輪子と奇妙な同居生活を演じている新木は、“牛乳を愛する、大物感を漂わせる女”という謎の設定。複雑なセリフが交差する密室劇で、若手女優たちとの競演という、『CRISIS』とは真逆のタイプの演技を披露しているのも面白い。2017年は女優・新木優子の飛躍の年になるに違いない。(文=本 手)