<人権活動家の劉暁波にノーベル平和賞を与えたときから冷え込んでいた両国関係が正常化。養殖サケを売るためにノルウェーが払った代償は>

「北京へ魚釣りへ。両国の関係に春が来た」。ノルウェーのDagsavisen紙(4/7付)の見出しだ。「魚釣り」とは、ノルウェーが中国へ輸出再開したい、日本でも人気の「ノルウェー養殖サーモン」を意味する。

昨年12月19日、大きなニュースがノルウェーを沸かせた。中国とノルウェーの関係正常化に両国が合意したのだ。

2010年、中国の民主活動家である劉暁波氏に、ノルウェー・ノーベル委員会がノーベル平和賞を授与。委員会は同氏の釈放を求め、中国側は「内政干渉」だと激怒した。以来、両国の交流はほぼ停止状態だった。

「ノーベル平和賞を授与するノーベル委員会」は独立機関であり、「ノルウェー政府」とは関わりがないことをノルウェー政府はよく強調するが、国際的にそれを理解してもらうことは難しい。政府がどれだけ否定しても、ノーベル平和賞からは政治的な匂いがぷんぷんする。

劉暁波氏への平和賞授与で、両国の政治的なトップレベルでの交渉やビジネスは全面的にストップした。特に、養殖サーモンへの打撃はこれまでノルウェー国内で幾度となく報道されていた。

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中国との関係正常化と首相の訪中は、連日ノルウェー紙を賑わせた Asaki Abumi

ノルウェーが長く待ち望んでいた関係正常化には代償が伴った。事実上、ノルウェー政府は「今後中国の核となる議題においては批判しない」という旨の声明にサインをした。このことは、ノルウェー国内の人権団体から批判を浴びる。

ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相は4月7〜10日、ブレンデ外務大臣とメーラン貿易・産業大臣とともに産業界のトップを連れて中国を公式訪問。ノルウェー首相の訪中は10年ぶりとなる快挙であり、今後の両国の関係をスタートさせるための皮切りとなった。

一方、訪問中は「人権問題をテーマにしない」ことが明らかとなっており、国営放送局NRKを筆頭に、ノルウェー・メディアは大々的に・批判的に取り上げる。

首相の訪中には報道局が同行し、連日大きな記事が各紙を賑わせた。右寄りの経済紙各紙は今後のビジネスの展望に期待を添えて、左寄りのメディアは人権問題やサーモンの問題点に集中している点で、違いがみられた。

鐙麻樹(ノルウェー在住ジャーナリスト&写真家)