日産ノートの美点のひとつに、後席やラゲッジの広さがあります。全長4100×全幅1695×全高1520mm、ホイールベース2600mmというコンパクトカーの中でも大きめのボディサイズの恩恵を感じさせる点。

日産が社内向けに行っている技術発表の「うんちく大会」がプレスにも披露され、いくつかのパートに分かれて開発におけるポイント、新発想が紹介されました。

「モーター駆動の走り」というパートでは、まず基本的なレイアウトからおさらい。冒頭で紹介したノートの美点を損なわずに、バッテリーを前席下に配置し、エンジン、ギヤボックス、駆動用モーター、発電用モーター、インバーターをすべてエンジンコンパートメント内に収めています。これによりガソリン車同様の居住性を確保。

ノートe-POWERを象徴するものとしてとして掲げられた「ひと踏み惚れ」というキャッチがありますが、より具体的にいうと、モーター駆動の走りを「滑らかで反応のよい上質な走り」とするべく開発されたそうです。

撮影不可とされた資料では、ライバル(T社のハイブリッド、日産の2.0Lガソリンターボ)と比較すると、Gカーブが段差なく描かれていて(滑らかさ)、反応良さでは立ち上がり早くなっていることからノートe-POWERの「滑らかで反応のよい上質な走り」が加速性能(Gカーブ)からも分かるとしています。

フラットなGカーブ(GセンサーによるGの持続)をほかの乗り物で表現すると、「ジェット機の離陸のよう」と解説されましたが、確かにテスラ各モデルのハイパワー仕様の加速Gまではいかなくても、ノートe-POWERの美点であることは間違いないでしょう。

こうした特性を実現できたのには3つのポイントがあるそうです。まず、「モーター駆動とエンジン駆動の違い(駆動方式の違い)」、「トランスミッションが要らないモーターのトルク感」、「リーフで培われたモーター制御」。

1つめの「モーター駆動とエンジン駆動の違い」。エンジンはアクセルを踏んでスロットルを開いて吸気…と行程が多く、(回転数の速度制約に律速されるため)ラグが発生します。

モーターの場合は電気信号が伝わり、電気信号により電流を増やすなどして、最後に加速につながります。つまり、電子の速さで加速要求が加速に直結するわけです。

2つめの「トランスミッションが要らないモーターのトルク感」。モーターは回転数ゼロで最大トルクが発揮され、モーターの回転域が広いため変速が要らず、ゼロから最高速まで加速できるという利点により、スムーズな加速が実現できています。

3つめは「リーフで培われたモーター制御」。モーター制御(制振制御)のお話です。モーターから車軸までトルコンやクラッチがなく、駆動力伝達系の「ねじり振動」が誘起されやすくなります。

モーターの利点を活かしてそのまま入力してしまうと、「ねじり」で共振してMT車でガクガクと発進するような振動が発生するそうです。

そこで、制振制御(1万分の1)を使い、トルクを立ち上げてからカンターを当てて(逆位相)戻すことで、狙い通りの加速度が得られているそうです(駆動軸のねじり振動位相対策として、逆位相にトルクをかけている)。

この制御アリ、ナシを乗り比べるとすぐに差が分かるそうで、e-POWERの標準の仕様と「NISMO」仕様では味付けを変えていて、後者の方が早開きのようなイメージになっているそうです。

標準仕様とNISMO仕様の違いが最もよく分かるのが「Sモード」で、「エコ」は「ノーマル」と同じ。なお、制振制御技術がないメーカーでは、立ち上がりを鈍らせてガクガクしないように凌いでいるそうです。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久、日産自動車)

日産ノートe-POWERの「広さ」と「滑らかで反応のよい走り」の秘密とは?(http://clicccar.com/2017/04/18/463274/)