量産を開始した光学素子の説明(大日本印刷の発表資料より)

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 大日本印刷(以下DNP)は17日、ナノインプリント技術を応用した光学素子の量産を開始すると発表した。赤外線などを使うセンサーの小型化・高性能化を可能にする。同日に富士通が販売を発表した、スライド式静脈認証機能搭載のタブレットにこの光学素子が採用されている。

 光学素子とは、例えばカメラなどの光学機器を構成する部品のことを言う。今回の光学素子は、ナノインプリントと呼ばれる転写技術を用いて凹凸を作り、赤外線などの照射光を整形する役割を持つ。光を特定の形やパターンで照射し効率を高めることにより、さまざまなセンサー機器や照明装置の性能向上や効率改善、そして小型化が可能となる。

 富士通が販売する10.1型小型軽量タブレット「ARROWS Tab Q507/P-SP」で使われた光学素子の幅は約8mmという。静脈認証に利用する赤外線のコントロールのために、光学素子の凹凸を深くし、さらに階段状に加工する必要があった。小さな光学素子に加工するのは難易度が高いが、自社で培ってきた金型加工やナノインプリント技術でこれらの課題を解決し量産を実現した。

 DNPは顧客企業が必要とする、様々な光照射パターンに対応できる光学設計技術を保有しており、さらに金型加工からナノインプリント、材料設計などの基礎技術もあることから、各種光源に対応した光学素子の設計・製造が可能であるとしている。

 セキュリティ強化の需要、またモノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)の広がりにより、高度なセンサーがますます必要とされている。今回の発表の中で、今後期待される用途として、目の虹彩認証などの生体認証や、周囲の立体物や障害物を検知する赤外線3Dセンサー、また車や家電などの操作時の入力装置としてのジェスチャーセンサーなどを挙げている。

 DNPは今後、センサー分野での事業開発に注力し、2021年度には、今回の光学素子や「DNPナノインプリントソリューション」の関連商材の販売で年間80億円の売上を目指す。

 今後競争の激化が予測される、センサー機器の小型化・高性能化において、先行してシェアを拡大できるかどうか、注目が集まる。