新入社員に研修で叩き込んでおきたい法律

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■大事な情報は社内でも話させない

新年度。右も左もわからない新入社員にぜひ行ってほしいのが、コンプライアンス教育だ。社員が法律に違反すれば、会社もダメージを負いかねない。そこで今回は、新入社員に知っておいてもらいたい法律をいくつか紹介しよう。

まず徹底させたいのは情報管理だ。この時季、学生時代の友人と集まって情報交換する新入社員は多い。しかし、話す内容によっては法律違反になる。

たとえば社内で開発中の商品について友人に話すのは危険。営業秘密の「不正開示」で不正競争防止法違反のおそれがある。コンプライアンスに詳しい浅見隆行弁護士は、こう解説する。

「IDやパスワードを入力しないと閲覧できない情報や、紙で配っても後で回収する情報は、営業秘密に当たる可能性が高い。一方、初任給の額や社員食堂がどうだという情報は営業秘密ではありません。会社はその違いを教えるべき」

営業秘密に該当しなくても、業務上知った情報を人に話すのは厳禁。たとえば「いま自分が関わっているM&Aの案件は〜」と自慢すれば、相手がその情報をもとに株取引する可能性がある。そうなればインサイダー取引推奨やインサイダー情報伝達で金融商品取引法違反のおそれありだ。

消費者向け事業をやっているなら、個人情報保護法についても教育したい。今年5月に改正法が施行され、これまで適用外だった小規模取扱事業者(取り扱う個人情報の数が5000件以下の事業者)にも規制が及ぶことになった。これまで対策をしてこなかった企業は、注意が必要だ。

外部に漏らしてはいけない情報は、家族に話すのもアウト。さらに社内での会話についても注意喚起しよう。

「同じ社内でも、部署や担当が違えば情報漏えいになりえます。エレベーターで仕事の話をするのはダメ。マナーではなく、情報管理として会話禁止を徹底させてください」

■やる気のある新人が犯しがちな法律違反

良いスタートを切ろうと頑張る新入社員の姿は微笑ましい。しかし、はりきりすぎて一線を越えないよう、手綱はしっかり締めておきたい。

新入社員に最初に営業を経験させる会社は多いが、強引な営業をさせてはいけない。電話営業や訪問販売で、最初に社名や目的を告げずに勧誘すると、特定商取引法違反。また、相手の理解度に合わせて説明をしないと消費者基本法違反になる。新入社員が功を焦るあまり違法な営業をすると、会社が行政処分を受けるおそれがある。

外部に発注する部署に配属された新入社員に対しては、下請法の教育が欠かせない。

「大手に入社すると、急に偉くなった気がして下請け企業に強く出る新入社員がいます。相手に落ち度がないのに減額させたり、発注後に減額交渉をするのは下請けいじめです。実際に下請法違反で勧告を受けるケースが後を絶たないので、気をつけてください」

(文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 浅見隆行 図版作成=大橋昭一)