惜敗の上田桃子…ただ熊本を大いに沸かした(撮影:鈴木祥)

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「KKT杯バンテリンレディス」は西山ゆかりが大逆転優勝。初日から首位を走った熊本出身の上田桃子は最終ホールで追いつかれ地元Vを逃した。震災の影響により1年ぶりに開催されたということもあって異様な雰囲気の中行われた戦いを、その上田らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。
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■優勝スコアは今季最少 理由は地面の固さ
西山ゆかりの優勝スコアはトータル4アンダー。昨年を含めても下回ったのはトータル1オーバーの決着となった「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」のみ(「日本女子オープン」が同スコア)と今大会はメジャー級の難易度を誇った。その理由を辻村氏は地盤の固さだと分析する。
「雨が降っても11フィートのスピードを誇った硬くて速いグリーンが多くの選手を苦しめましたが、同じく固いという意味ではフェアウェイも一緒です。今大会はコース全体の地が固いため、ティショットでも縦の距離感が合っていなければだめでした。ドッグレッグでは突き抜けて林の中、という場面も少なくありませんでした。また220ヤード地点前後のところにバンカーを効かせていて実際のフェアウェイは狭い。ティショットの精度、高速グリーンへの対応が求められました」
■西山ゆかりが優勝できた要因は“試合を想定”できていること
そんな難しい状況でカップを手にした西山のスイングの特徴として「深いトップでワイドにゆったりしたスイング」を挙げる。「ゆったり振るから、ボールも“ギュン”と曲がらずゆっくり落ちていく。持ち球はハイドローであれこれ打ち分けるタイプではなく、1つのスイングを1つのテンポで変わらず続けることが持ち味です」。その絶対に大きく曲がらないショットが熊本制覇に大きく貢献した。
加えて“練習で試合を想定できている”ことも優勝できた要因だ。「彼女は1年を通して調子の波が少ない。それは自分独自の確固たる調整法が身に付いているからです。例えば練習場では3〜4割でのフォームチェックを欠かしていません。これは優勝争いをしているときでも変わらない調整法です」
「また、これまで彼女はパッティングの時にかたちにこだわり過ぎていたところがありましたが、今はイメージを大事にしているように感じます。今大会打つ前に素振りをしなくなっていたのも、しっかりと頭の中でイメージができあがっていたからでしょう。そしてルーティン。練習の時から確立しているからこそ試合になっても乱れがない。すべての面で練習が試合へとつながっている。だからこそ、予選落ちは少ないし今回のように難しいコンディションとなっても対応できるのです」。
■上田桃子は必ずまた優勝争いをします!熊本の皆さん待っていてください!
対して2打差をリードしながらも最終ホールで追いつかれてプレーオフで散った上田については、コーチという立場から語ってくれた。
「18番(パー5)の状況(バーディを奪った西山に対し、レイアップした上田が1mのパーパットを決められず追いつかれる)は攻める側の1打と守る側の1打の難しさが合致して、数%しか起こりえないことが現実となりました。守る側としては2打差で迎えたかが故に“パー狙いで良い”という気持ちが出ます。彼女も守りに行ったわけじゃないと思います。ただ、最後のパーパット(1m)を打つときに“並ばれる”というのは少しはあったかもしれません」
上田本人としてもチームとしても悔しい敗戦だが、成長を感じたのも事実。「上田は熊本のみんなを元気にしたいと開幕からこの大会に照準を合わせてきました。声援もすごかったですし、責任感ある彼女にとっては重圧でもあったと思います。そんな特別の試合でここまで優勝争いをできたことは成長した部分だと思っています。コーチから見たら次が大事。この悔しさ、経験を活かすのは今後しかありません。状態は確実に良いです。上田桃子は必ずまた優勝争いをします!熊本の皆さん待っていてください!」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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