新手法によって誕生したクローンマウス(近大提供)

写真拡大

近畿大学や京都大学の研究グループは、3種類の化合物を添加することで体細胞クローンマウスが誕生する割合を劇的に改善する新手法を世界で初めて発見したと発表した。これまでの技術では発生率は1%未満だったが、最大25%を確認したという。

クローン技術による絶滅危惧動物の保全や、医療研究目的の遺伝子組換え動物の効率的な生産につなげられるという。発見に関する論文が2017年4月15日、英学術誌「バイオロジーオープン」のオンライン版に掲載された。

近大と京大などのグループ 新手法を世界で初めて発見

体細胞クローン技術は、さまざまな分野での有効利用が期待されているが、これまでの技術では発生率(クローン効率)が1%未満で、その活用が難しい状況が続いている。

これまで低い成功率を向上させる試みは世界中で行われ、マウスクローン胚を核移植直後から「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」を添加した培地で培養するとクローン効率が5%程度に上昇することが示され、また最近では、ビタミンCを培地中に添加することでもマウスクローン効率が最大5%程度まで上昇することが報告されていた。

しかし、これらの「化合物」を同時に添加することによる顕著な効果は確認されていなかった。

種化合物で培養

近畿大学生物理工学部遺伝子工学科の宮本圭講師と、京都大学大学院農学研究科の山田雅保准教授(応用生物科学専攻)らの研究グループは、添加によって簡単にクローン効率を向上させる「化合物」の発見を目指した。同グループは、単独使用で効果が確認されている「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」と「ビタミンC」に着目。それらが相乗的にクローン胚の発生を促進する条件を、処理濃度、処理条件について検討を重ねた。

通常マウス胚の培養に使用される培地には、ビタミンCの効果を阻害する恐れがある微量の金属イオンを含有するウシ血清アルブミンが含まれていることから、脱イオン化したウシ血清アルブミンを添加した培地を使用して実験を行った。

マウスクローン胚を、核移植直後に行う卵子の活性化刺激の開始と同時にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を添加した培地で8時間培養。その後ビタミンCを含む培地で7時間培養したものが、それぞれの化合物の単独処理や同時処理などに比べてクローン効率が大幅に向上し、それぞれの化合物の相乗効果が確認され、健常なクローンマウスが誕生した。

研究グループによると、今回の結果により、体細胞クローン技術は実用化レベルに迫るところまで向上。

レッドデータブックに載っているような絶滅危惧動物の保全や、医療研究目的の遺伝子組換え動物の効率的な生産をめざし民間会社と共同研究を進めている。