開幕戦からのスタメン出場は「6」でストップ。45分間のプレーに「短いですね」と少しだけ語気を強めた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ・7節]仙台 1-4 鹿島/4月16日(日)/ユアスタ
 
 大きな感情の起伏なく受け答えをしていた永戸勝也が、ほんの少しだけ強く、言葉を吐き出した。
 
「やっぱり45分じゃ短いですね」
 
 それは自身を納得させているようにも見えたし、溜まっていた鬱憤を晴らしたようにも映ったし、まだまだ続く2017シーズンのこれからに対する意気込みのようでもあった。
 
 法政大からベガルタ仙台に入団した今季、託された背番号は2。クラブの期待は十分に窺い知れる。また、渡邉晋監督も「開幕スタメンもあり得る」とそれを隠すことはなく、実際に2月25日に行なわれた札幌との初戦では、左ウイングバックとして先発に名を連ねた。
 
 その後、リーグ戦で6試合連続のスタメン入り(2節・磐田戦、3節・神戸戦、4節・柏戦、5節・川崎戦、6節・浦和戦)。うち3試合でフル出場を果たしている(1節・札幌戦は89分までプレーした)。
 
 サイドライン際を幾度も上下動できる豊富なスタミナ、対峙したDFに果敢に仕掛ける精神力、縦に抜けるスピード、そして苦しい体勢でも精度の高い左足のクロス。開幕戦では内へと切り込み、右足で強烈なシュートを放ってもいる。
 
 及第点以上の活躍、だった。0-7と歴史的な大敗を喫するまでは……。浦和戦に限れば、永戸の積極性は失われていたと言って過言ではないだろう。浦和の関根貴大に手玉に取られ、失点の起点になった。ほとんど何もできないまま、68分でピッチから退いている。
 
 そうして迎えた7節の鹿島戦、ついにメンバー表のサブ選手欄に名前が載ることとなった。自身の代わりにポジションに入ったのは、下部組織出身でプロ3年目の茂木駿佑。12日に行なわれたルヴァンカップ・磐田戦(2-0)そのままの選手配置だった。
 
 中野嘉大の負傷離脱もあってガッチリと掴んだかに見えたポジションを、2か月弱で失ってしまった。堂々と、そして飄々としていた男も少しは堪えたらしい。指揮官曰く、「鹿島戦の前まで、ちょっと元気はなかったかな」。
 王者との試合で仙台は、前半の45分で3失点。為す術がなかった。ハーフタイムを告げるホイッスルが吹かれると、すぐにチャントに切り替わったものの、駆け付けたサポーターからはブーイングも飛んだ。
 
 そんな折だった。ベンチで戦況を眺めているしかなかった永戸に出番が回ってくる。渡邉監督は後半頭から、茂木に代わって投入することに決めたのだ(もうひとり、ボランチの藤村慶太と交代で富田晋伍が同じタイミングで途中出場)。永戸が回想する。
 
「浦和戦のことは自分なりにしっかりと反省できていたし、ルヴァンカップの時は監督から直接、『上から見て、鹿島戦に向けて準備をしろ』と言われていたので、自分に求められているものを発揮しようと心掛けてプレーできた。
 
 急遽だったので準備が足りない面もあったけど……。早い段階でセットプレーから得点できた(50分に左CKからクリスランが頭で合わせてネットを揺らした)ので、クロスを上げる時には『最悪、相手に当ててCKでいい』とも考えていた。
 
 途中出場となった以上は、スタメンで出ている選手よりもどこかで一歩分でもボールにアタックしたり、多く走ったりして助けなくちゃいけない。それをしっかりとできていたら、もう少し良い結果になったかな、と。試合の途中からピッチに立つことがあまりなかったので、これもひとつの経験です」
 
 確かに、役割を理解しているパフォーマンスだった。西大伍や遠藤康を向こうに回して、ドリブルを突っ掛け、クロスを供給し、セットプレーも獲得。「あいつのところからチャンスを作れていたし、ああいう姿を今後も見せてくれれば」とは指揮官の弁だ。
 
 それでも、価値を再証明したとは言い切れない。「次の試合はどういう形で出場できるかは分からないですけど」という言葉は本心だろう。普段のトレーニングでの競争を勝ち抜き、改めて定位置を奪還するしかない。
 
 スタジアムに鳴り響いたサポーターたちの想いを背負って。もう2度と振り向くことなく、前だけを見つめて。ベガルタゴールドの2番よ、「カモン! カモン! カモン!」という声を目がけて、どこまでも走って行け!
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)