米ウォールストリート・ジャーナルや米ニューヨーク・タイムズ、英フィナンシャル・タイムズなどの海外メディアは4月14日、米アップルが初めて、自動運転車の走行試験に関する許可を得たと報じた。

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カリフォルニア州で公道走行試験可能に

 カリフォルニア州車両管理局(Department of Motor Vehicles:DMV)が同日、アップルの申請を許可したもので、これによりアップルは同州で、自動運転車の公道走行試験ができるようになった。

 これに伴いカリフォルニア州車両管理局はさっそくWebサイトを更新。「自律走行車テスタープログラム」と呼ぶ、同州で自動運転車の走行試験が許可される企業リストにアップルを加えた。

 報道によると、許可を得たのはソフトウエアやハードウエアを組み込んで改造した3台のSUVで、車種はいずれも「Lexus RX 450h」。運輸当局は、6人のオペレーターが乗車し、走行状況を監視しながら、緊急時には自動運転に代えて人間が運転することを義務づけている。

 アップルは2014年に「Titan(タイタン)」と呼ぶEV(電気自動車)開発プロジェクトを立ち上げ、ここで自動運転車の開発を行っているが、すべては秘密裏に進めていると伝えられている。

 そうした同社が、自動運転車について初めて公式なコメントを発したと伝えられたのは昨年(2016年)12月のこと。

 米運輸省は昨年9月、自動運転車に関する連邦政府指針を公開し、業界団体や自動車メーカー、テクノロジー企業などから意見を募っていたが、アップルは、その期限最終日の11月22日に道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration:NHTSA)に書簡を送り、意見を表明した。

 この書簡の中で、アップルは同社がマシンラーニング(機械学習)とオートメーションの技術に多額の投資を行っていることを明かしたうえで、「(我々は)輸送機関を含む多くの分野における自動運転システムの可能性に心躍らされている」などと述べた。

(参考・関連記事)「アップル、自動運転技術の開発を初めて公式に認める」

 ウォールストリート・ジャーナルによると、今回の公道走行試験の認可に関し、アップルの広報担当者は直接的な声明は控えたものの、上述の書簡に記されていた文言を繰り返す形でコメントしたという。

ライバルに後れを取るアップル

 こうして、自動運転車の開発を進めていることが明らかになったアップルだが、同社はこの分野では、後発だと指摘されている。

 例えば、上述したカリフォルニア州の「自律走行車テスタープログラム」の参加企業はすでに29社あり、アップルは30社目となる。

 このリストには、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、BMW、フォード、GMといった自動車メーカーのほか、グーグルやエヌビディアといったテクノロジー企業も名を連ねている。日本のメーカーでは、日産、ホンダ、スバルも参加している。

 このうち、グーグルの親会社であるアルファベットは昨年12月、自動運転技術を商用化する子会社として「Waymo(ウェイモ)」を設立。今年1月には、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との共同開発による自動運転車を披露している。

 グーグルは2009年から自動運転車の開発に取り組んでいるが、ウォールストリート・ジャーナルによると、その公道走行距離は400万キロメートル以上に上るという。

岐路に立つTitanプロジェクト

 一方、アップルのTitanプロジェクトについては昨年、さまざまな問題に直面しており、計画は岐路に立たされているなどと報じられた。

 これを伝えたブルームバーグによると、アップルの幹部はTitanのチームに対し、2017年末ごろという期限を設け、自動運転車のシステム(ソフトウエア)の実現可能性を検証するよう指示した。

 そのうえで幹部は、アップルが当初の計画どおり自動運転車を自社開発するのか、あるいは自動運転に必要なソフトウエアのみを開発し、それを自動車メーカーに提供する事業を進めるのか、いずれかを決定するよう求めたという。

(参考・関連記事)「アップル、電気自動車開発計画が難航」

筆者:小久保 重信