「私、実は海外バージンなんです」

29歳から34歳の女性5人が集まるウートピの企画会議で、32歳の編集スタッフY子がボソリと突然の告白……。

エーーーーーーッ、と仰け反る一同。

「32歳まで海外バージン守ってる理由って何?」
「外国人の彼氏にイタい目に遭わされたとか!?」
「日本が居心地よすぎるとか!?」

Y子いわく、「別に旅行が嫌いなわけじゃないんですが、『今年こそ』と思っているうちに初体験のチャンスを逃しちゃって。ここまで大切にとっておいたんだから絶対失敗したくなくて、どんどんハードルが上がってる感じです」と。

32歳まで守り抜いたバージンだから、初体験は絶対に失敗したくない。

そんなY子のために、“初めて”を捧げるにふさわしい国をみんなで探そう。海外バージンのY子を優しく包み込んでくれる国は、私たち疲れたアラサーも癒してくれるに違いない! 失敗したくないのは、貴重なお金と有給を注ぎ込んで旅に出る私たちだって同じだから!

というわけで、今回からスタートするのが、旅歴25年間で80カ国を旅し、酸いも甘いも知り尽くしたトラベルジャーナリスト・寺田直子(てらだ・なおこ)さんと一緒に「世界でいちばん包容力のある場所」を探していくこの連載です。

では、前置きはこのくらいにして、さっそく寺田さんにイチオシの旅先を教えていただきましょう。今回のポイントは「清潔感」です。

バージンでなくても、「清潔感」は女性の旅先にはマストですよね。

処女なのに、初めてが野外…なんて無理でしょ?

仕事もそこそこやりがいがあるし、趣味やボランティアで生活も充実しているので別に今すぐ海外旅行を経験しなくてもいい、という人もいることでしょう。

でもね、そうやっているうちにあっという間に30代は過ぎ去るのです(キッパリ)。

結果、あわてて学生が行くような安いツアーでもなければ、富裕層向けのラグジュアリーさもない中途半端なツアーをつかんでガッカリする。そんな悔しい思いをするような女子に成り下がっちゃダメですからね。

じゃあ、一番重要なポイント。初めて海外旅行に行く時、何を大事にするか?

それは、清潔感です。

どんなにステキで好みの場所でも清潔感がなければもう絶対、間違いなくダメ。しかも、「汚い」のレベルが日本で暮らす私たちの想像をなんなく超えていくスゴさ。がっかりするどころか嫌悪感さえおぼえる。

そうなると、もう二度と海外なんて行きたくないと拒否反応が芽生える。これは逆効果です。

ある程度、旅経験が出てくるとたとえばアジアの混沌とした雑踏や多少の不衛生さも旅の醍醐味と味わい深く思うようになりますが、そこまで到達するのは経験を重ねた旅の上級者のみ許されるもの。

「クリーンさ」こそ初めての海外旅行を安心して心から満喫する重要なキーワードだということを頭に叩き込んでください。

クリーンでスマートなヘルシンキ

そこでお薦めするのが北欧。

なかでも日本から直行便が飛んでいるフィンランド・ヘルシンキは初海外旅行には最強の場所だと断言します。

イメージはズバリ、少女マンガに登場する帰国子女の先輩。

女性を優しくエスコートしてくれて、おだやかで礼儀正しい人柄(国民性)。

ムーミンやサンタクロースの故郷でもあり、映画『かもめ食堂』の舞台になるなど女子好みのキーワードも。マリメッコ、イッタラなどの生まれ故郷でもありデザイン&アート好きにもたまりません。

国際感覚に裏打ちされたスタイリッシュさを持っているけれど、人柄がにじみ出るオーガニックな雰囲気は好感度大です。

とはいえ、たとえば2016年に誕生したLöyly(ロウリュ)はヘルシンキ最大の公共サウナ。シーサイドのリゾート性で人気ですがサウナ自体は本場らしく水着での混浴!

こんなオープンな感性も帰国子女らしいお茶目さ。ドギマギさせられつつも決してイヤらしくないので信頼感もアップ。

これからの季節は爽やかな夏を迎える季節で、太陽が沈まない神秘的な白夜のシーズン。「森と湖の国」と称されるみずみずしさは北欧ならでは。清潔なだけでなくそんな透明感まで感じさせるのですからまさに最高のお相手! 初めてでも安心して身を任せられる安心感があるでしょう。

おまけに2017年は建国100周年のアニバーサリーイヤーでミュージカルや国立公園などでの特別アクティビティなどさまざまなイベントを開催。注目は6月にオープンする世界で唯一のムーミン美術館。作者トーベ・ヤンソンのコレクションなどを展示。ヘルシンキは今が旬の最強スポットです。

海外バージン、ごねる

寺田さん、ありがとうございます! Y子です。

ヘルシンキ素敵だなぁ。直行便があるというのもポイント高いです。いきなりトランジットとか言われてもしんどいですから。乗ってるだけで行けちゃうって最高!

でも、できれば……できればでいいんですよ。もう少し近くて、安くて気軽に行けるような国があればなぁ……って。たとえば、そう、アジアとか! ね、寺田さん。いいところありませんか?

次回、面倒くさいY子のリクエストに寺田さんがオススメする国とは?

※写真はすべてイメージです