トルコは、オスマン帝国のカリフを追放して1924年にトルコ共和国を建国したムスタファ・ケマル・アタチュルク初代大統領以降、イスラム色を薄めながら、欧米化による近代化を推進してきた。NATOやOECDにも加盟を認められ、EUにも加盟しようとしてきた。

トルコ共和国は、オスマン帝国とは異なり、近代的な構造をもつ国だった。行政府と立法府をもち、選挙で選ばれた議会の代表で構成する閣議もある。皇帝による統治は、主権者たる国民を代表する議会の手に委ねられた。

少なくとも、昨日までは。

16日、トルコでは大統領権限を大幅に強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が実施され、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領が勝利宣言した(改憲に反対する野党側は結果に異議を唱えている)。

賛成票が51.5%僅差とはいえ、国民は事実上の独裁制を選んだことになる。18項目から成る改憲案は、首相府を撤廃させ、予算案の起草や非常事態宣言の発出、議会の承認なしに閣僚などを任命する権限を大統領に集中させる内容だ。

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独裁者ならテロを止められる?

ロイターによれば、エルドアンは勝利演説で2500万人のトルコ国民が議員内閣制を廃止し大統領に行政権を集中させる改正案を支持したと宣言した。

「トルコ史上初めて、文民政治下で国家統治制度が変わることになる」と演説したエルドアンは、軍によるクーデターが繰り返された過去に触れ、「だからこそ改憲が非常に重要な意味を持つ」と言った。

改憲派は、国民に訴えてきた。強力な指導者が誕生すれば「テロはなくなる。経済は繁栄する」。

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だが最大野党の共和人民党(CHP)を率いるケマル・クルチアルドール党首は、国民投票の合法性に疑問の余地が残ると主張。賛成側に不正があった可能性があると批判した。

クルチアルドールはエルドアンが「ワンマン体制」を目指していると批判し、憲法改正による改革はトルコを危険にさらすと警告した。

アタチュルク以来の世俗主義もイスラム主義に取って代わられそうだ。トルコのイスラム教徒は、オスマン帝国に憧れ、トルコを秘かに軽蔑してきた。そうした土壌から2001年に生まれたのが、エルドアンが率いる与党・公正発展党(AKP)なのだ。

ヨーロッパの政治家も、改憲派の勝利を憂慮している。

EUとトルコの関係は、エルドアンの人権弾圧などから冷え込んでいた。昨年7月にトルコでクーデター未遂が起きると、エルドアンは4万7000人を拘束し、12万人を停職や解雇処分にした。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部