新潟にとって甲府戦は今季の公式戦初勝利。原はプロ入りからいきなり50日も、勝利と縁のない時期を過ごしていた。彼は苦い経験について言葉を選びながらこう振り返る。
 
「ここに来て初めてと言っていいほどの体験をした。言い方が難しいし、この経験ができて良かったと言っていいのか分からないですけど……。どういう状況でもやり続けなければいけないということは学びました。『ひとりになった時は自分が出ていて本当にいいのかな?』とか、色々考えることはありました。でも使ってもらっている以上はやり続けないといけないし、結果を出さなければいけない。今日は結果だけですけど、出せて良かった」
 
 原はやはりプロ選手として、開幕からの勝ちなしを「良かった」とは片づけられなかったのだろう。しかしそういう場で苦しみつつトレーニング、プレーをやり続けた経験は、これからのキャリアで必ず生きてくる。
 
 サポーターは“結果だけ”で喜べばいい。しかし新潟の“落ち着きすぎた高卒ルーキー”は、結果だけで満足していなかった。初勝利、初ゴールにも平然としている姿から、試合中のプレー以上に原の頼もしさが伝わってきていた。
 
取材・文:大島和人(球技ライター)