開幕から7試合連続でスタメン出場する原。いまや新潟の不動のレギュラーだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 高卒ルーキーがJ1の舞台で出番を得ることは難しい。そして『出続ける』ことはその何倍も難しい。市立船橋高からアルビレックス新潟に加入した原輝綺は、開幕から7試合連続で先発出場を果たしている。
 
 背番号34の18歳は左サイドバックとして、7節・ヴァンフォーレ甲府戦(2-0)の完封勝利に貢献。11分にはCKから新潟の先制点も決めている。原は自身のプロ初ゴールとなった一撃について淡々と振り返っていた。
 
「練習でも(ファーサイドに新潟の選手が)固まって、そこに蹴るというのはやっていた。自分(の上)を超えた瞬間に、誰かが折り返してきてもいいように準備していた。あまりマークに付かれていなかった」
 
 確かに至近距離からフリーで決めた、イージーなシュートだったのかもしれない。ただメディアは彼の“初々しい喜びの声”に期待している。初ゴールの感想を改めて問う記者に対して、原はしばらく沈黙した上でこう語り始めた。
「まず勝ちたいという気持ちの方が大きかった。点を決めた後もあまり喜びに浸ることはなかった。まだ前半だったので、いい意味で次に切り替えて試合に入れたと思う」
 
 もちろんゴールを決めた喜びがゼロではない。原は「子どもの頃からJリーガーになりたいと思ってサッカーをやっていた。この舞台で初ゴールを決められたことは素直に嬉しい」と話を続けていた。それでも表情と口調は抑え気味で、18歳の少年とは思えないほど落ち着いた様子だった。
 
 原は開幕からしばらくはボランチとして、6節以降は左サイドバックとして先発している。高校時代もセンターバックなど様々なポジションでプレーしており、監督にとっては使い勝手のいいオールダウンダーだ。
 
 高校の同級生で、ディフェンスラインの相棒だった杉岡大暉も、同じようにJ2の湘南ベルマーレで出番を得ている。杉岡は2節・ザスパクサツ群馬戦(3-1)でプロ初ゴールを挙げており、原より40日以上早いタイミングだった。
 
 原は杉岡に対して「アイツはたぶん、この先のサッカー人生の中で、一生意識していく奴だと思う」とライバル意識を口にする。
 
 一方で、ゴールで先を越されたという悔しさは皆無だ。「あまりゴールを取りたいという欲はない。取れたらいいなくらいで。まずは自分のやることをやろうと思っていた。結果的に取れたから良かった」
 
 彼は18歳にして職人、裏方の自覚を持っている。プレーも言動と同様に落ち着いて、確実性の高さが売りだ。特別な身体能力、ドリブルや強烈なキックといった分かりやすい武器の持ち主ではない。しかし冷静さ、判断力、そして適応力といった“目に見えない武器”があるから、彼は三浦文丈監督の評価を得ているのだろう。
 
 ただ原のプロ生活はまだ始まったばかりだ。J1リーグ戦で7試合、617分のプレーを終えた手応えを彼はこう述べる。
「プレースピードに少しずつ慣れてきて、落ち着ける時間も開幕戦より増えた。そこは収穫かなと思います」
 
 話題が課題に移ると彼は雄弁に語り始めた。
「ボールを奪ってから落ち着かせたい場面で、パスを長く出してしまったり、ラインを割ってしまったりすることがあった。しっかり周りを見ながら、自分のところで時間を作れるようにしたい。周りの押し上げを待つプレーをサイドバックができれば、チームも助かると思う。時間を作れるサイドバックとして、チャンスメイクのボールを入れたい。使う側のサイドバックというイメージは、自分の中で少し見えてきた」
 
 無理に喜びを抑えている、謙虚を心がけているという気配は無かった。もちろんビッグマウスというタイプでもない。ただ彼にはきっと「自分はもっとできる」という自負がある。だからこそ原は一喜一憂せず、成長に向けて殻を破る時間をもどかしく感じるのだろう