Q:父は高血圧から心不全になりました。私は健康で運動もしていますが、20代後半の頃から血圧が高く不安です。将来の心不全を防ぐのに今から何か備えることができるでしょうか?
(35歳・広告代理店勤務)

 A:心不全は、心臓のポンプとしての働きが低下し、全身の臓器に必要な血液量を送ることができなくなった状態です。
 原因は1980年頃までは、全身に血液を送るポンプである左心室の収縮力の低下によって起こるとされてきました。ところが、その後の研究によって、心不全症例の半数は左心室の収縮機能は正常であることが明らかとなりました。そして、原因は左室拡張機能障害にあると分かりました。
 このタイプは高血圧に起因し、高血圧性心不全と呼ばれます。血圧が高いため、左心室はそのポンプ力を増加させなければ全身に血液を送れません。その結果、左心室の筋肉が肥大してマッチョになります。

●降圧剤の服用を
 一見、いいように思うかもしれませんが、左心室内腔(血液を貯めるところ)は筋肉の肥大のため容積が減り、また筋肉も硬くなるので、しなやかさが失われるのです。その結果、拡張機能が低下します。
 このタイプの心不全は、胸部レントゲン検査では心臓の肥大は顕著でなく、胸水が溜まって息切れがするようになるまで見逃されることもしばしば。心エコー検査でも心臓の動きがよいのですが、心不全を起こしているのです。
 まさにサイレントキラーと言えます。がんにならず、脳梗塞にもならず、でも、最後にこの心不全に捕まってしまう。一見、健康な高齢者は今後激増すると予測されています。
 このタイプの心不全は、有効な治療法が確立されていません。長年、高血圧が続いて発症するので、それを予防するしかないと思っています。
 つまり、生活習慣の改善に努力しても、それだけでは血圧は150/100㎜Hgより下がらない。だから一生血圧の薬を飲み続けるのは嫌とか、ジョグングして治す、健康茶で治すなど言わないことです。
 私は降圧剤を服用して、トライアスロンや山登り、システマ(ロシア武術)、陳式太極拳を楽しんでいます。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。