真っ直ぐな歌声とアメリカ音楽の芳醇さに触れる、ノラ・ジョーンズ東京公演をレポート

写真拡大

 2017年4月13日、東京・日本武道館にてノラ・ジョーンズの来日公演が行われた。ノラ・ジョーンズは4月9日の仙台公演より今回の日本ツアーをスタート。この日は東京3days公演の初日となった。

 午後6時半の開演時間、まず第一部として先に登場したのは“Aloysius 3”。今回のツアーで、ノラのバック・バンドもつとめるザ・キャンドルズからの選抜3名−−オルガン奏者のピート・レム、ギタリストのジョシュ・ラタンジ、ドラマーでヴォーカルもとるグレッグ・ヴィツォレクによる3ピース・バンドだ。オーセンティックなオルガン・ロックの中に、ほんのりトリッキーでサイケデリックな味付けを加える演奏は、実に程よい塩梅。彼らを知らない観客にとっては、バンドの良いイントロダクションにもなっていた。

 30分ほどの演奏と休憩を挟み、7時半に至っていよいよ第二部がスタート。ノラは、先ほどの3人に、長髪ギタリストのジェイソン・エイブラハム・ロバーツ、ベースのウェス・ハッチンソンを加えたバンドとともに、派手なSEもなくサラリと登場。だが、彼女がピアノに触り、ひとたび歌い出せば、会場は一気にその世界観に引きずり込まれる。一曲目はブルージーな「I’ve Got to See You Again」。軽やかにリズムを揺らすノラの歌と演奏はジャジーで、バンドの演奏も、先程とは全く異なる顔をのぞかせる。右下から放射状に光が拡がるバック・スクリーンの装飾もエレガントだ。

 その後、演奏は「Tragedy」「Out on the Road」と続く。ノラの歌声はやはりスペシャルだ。本人は「やや風邪気味」だとMCで語っていたが、歌に聴きづらい点は全く無く、魅力的な中低音、そして伸びやかな高音を自在に響かせる。その歌い口は極めてナチュラルで、その自然さ、真っ直ぐさが、そのまま聴き手の心に訴えかけてくるようなパワーがあった。セットリストには最新作『Day Breaks』からの楽曲はもちろん、旧作からの曲や、プスンブーツの「Don't Know What It Means」、ニール・ヤングの「Don't Be Denied」なども。演奏曲の流れに沿って、ノラの担当楽器もアコースティック・ピアノ、エレキ・ギター、アコースティック・ギターなど様変わりし、編成もピアノ・ソロ、デュオ、トリオと変化。それに柔軟に対応しながら個々の曲の魅力を引き出す、バンドの対応力にも驚かされた。

 音楽的には、ジャズ、フォーク、ロック、ブルースと何でもありで、まさに“アメリカ音楽そのもの”とさえ言えたこの日のライブ。それら全てを分け隔てなく、美しくポップに聴かせてしまうことが、ノラの大きな魅力の一つであることもつくづく痛感した。世代も性別も作品性も異なるが、音楽シーンの中でも最も目立つフィールドで、アメリカ音楽の芳醇さに向き合っているという点で、その姿は現在のボブ・ディランとも繋がるかも知れない。音楽家としての才能はもちろん、そんな姿勢の部分も、あらゆる大御所や異才ミュージシャンから彼女がリスペクトと寵愛を受ける理由なのだろう。

 あっという間であった本編の終了後、「Sunrise」からはじまったアンコールの3曲では、彼女自身が「どこから来たのか?」を改めて伝えるように、1本のマイクをバンド全員で囲んで演奏。彼女を形作り、彼女が伝える音楽の魅力や味わいが、どっしりと染み込んで来るようなステージだった。ノラ・ジョーンズと彼女のバンドは、本日・明日は東京、そして来週からは大阪、福岡、広島、名古屋でそれぞれ公演を行うので、迷っている人はぜひ駆けつけて欲しい。


◎公演情報
【NORAH JONES/ノラ・ジョーンズ】
サポートアクト(第1部):Aloysius 3
2017年4月13日(木) 東京・日本武道館(終了)

◎ツアー情報
2017年4月14日(金)・15(土) 東京・日本武道館
2017年4月17日(月) 大阪・大阪城ホール
2017年4月18日(火) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
2017年4月19日(水) 広島・広島文化学園HBGホール
2017年4月21日(金) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
詳細:http://udo.jp/concert/NorahJones