ロケを多用した奥茨城の、昭和日本の原風景が素晴らしい。ミニ人間や昔のバスが往来する町中と、60年代の家電や家具との合成タイトルバックも面白い。1週間見ただけだが出だしは好調である。
谷田部みね子(有村架純)は農家の長女で高校生、祖父・茂(古谷一行)、母・美代子(木村佳乃)と妹と弟の5人暮らし。父・実(沢村一樹)はオリンピック景気の東京へ出稼ぎ中だ。秋の稲刈りに父はシャレた洋食屋でもらったカツサンドを土産に帰ってくる。刈り取った稲を下向きに揃えるのは栄養分がモミに溜まるから、などとところどころ農家の知識が解説されたり、オカッパ長髪頭の実の弟、みね子にとっては叔父がオートバイに乗って手伝いに来たり、洋食屋のスタッフがチラチラと登場したり、今のところ、まだ顔見世興行(?)中である。奇をてらわない真っ当な演出(黒崎博)だ。
みね子になる有村架純は素朴な茨城弁の少女を好演しているが、最初の方で、顔の両脇の髪を細く垂らしたスタイルは平成の流行で、60年代にはなかった。電話を近所に借りに行って、100番で先方を呼び出してもらうやり方や、土間に続く居間のセットなど、当時の生活のリアリティはよくでている。脚本家(岡田惠和)が東京オリンピックを目前にしたこの時代の光と影を描くと言ったように記憶する。ナレーションや劇伴の明るさとは裏腹に、突貫工事で変貌する東京の街の、翳の部分が出れば厚みのある朝ドラになるだろう。
(放送2017年4月3日、4日、5日、6日、7日、8日、8時〜)

(黄蘭)