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■どんなクルマ?

フル・モデルチェンジと言ってもいい?

トヨタの最新型ヤリス(日本名:ヴィッツ)は、外観が変わっただけでなく、目に見えない部分に、同社が約100億円を投じて開発した900個以上もの刷新された部品を使っている。

なかでも、1.33ℓVVT-iに代わって搭載された、よりパワーがあり経済的な1.5ℓVVT-iEガソリン・エンジンも注目すべきポイントだ。

最も注目を集めるのは、このクラスでは珍しいフル・ハイブリッド・モデル。ハンドリングを改善するために、パワー・ステアリング、アンチ・ロールバー、ドライブシャフト、エンジン・マウント、ダンパー、そしてフロント・サブフレームに改良を施したという。

208psを誇るホットハッチと呼ぶべき、1.8ℓガソリン・スーパーチャージャー付きのGRMNヤリスは、英国では後ほど追加される予定のようだ。

内装も変わっている

トヨタは、ダッシュボード素材のグレードを上げ、標準で付くインフォテインメントと安全装備の向上を図った。

同時に、トリムの選択肢や特別注文の内容を大幅に刷新している。評価すべき内容である。

施された改良の積み重ねが功を奏し、同クラスのライバルであるフォード・フィエスタなどを遂に超えることができるのであろうか?

■どんな感じ?

数値上よくなったエンジン 印象は?

1.33ℓエンジンの後を継いだ1.5ℓエンジンのおかげで0-100km/hタイムは、0.8秒短縮している。

一方で、アトキンソン・サイクル(VVT-iEのEは、Electronic Variable Valve Timing=電動連続可変バルブタイミングのE)を採用して38.5%の熱効率を達成したという。

また、水冷エグゾースト・マニフォールドの採用で、燃費を12%改善している。

しかし、ターボ・エンジンを搭載するライバル達と比べると、古くて月並みの印象を拭えない。

111psの出力は魅力的であるが、それはかなりブン回した時に得られるため、シフト・チェンジとアクセルを踏む右足に我慢が必要になる。

しかも、中回転域に達した時でも無視できない量の雑音がキャビンに侵入してくるので、このクルマのエンジンに鞭を打つのは快適とはいえない。

とはいえ、高速道路合流の加速時や、山坂道で満を持して追い抜きを掛ける時に十分なパワーを提供してくれるのはたしか。

では、乗り心地はどうなっているのだろう。

乗り心地、ハンドリングは良いとはいえない

乗り心地に関しては、オランダの舗装された道路がメイン・ルートだったため、深く探ることは困難だった。

しかし、稀に遭遇した悪路では、16インチのホイールを履いたこのヤリスは、旧モデルと似たようなキャラクターだと思った。

突き上げの吸収はしなやかで、キャビンへの大きな衝撃の進入はない。一方で、安定性は芳しくない、特に高速域では。

このクルマを山坂道で走らせること想像して、いい予感がしないのは、不自然に重く応答性の乏しいステアリングと急な進路変更をした時、ドライバーの意思とクルマの挙動が一致しない操縦性にある。

たしかにステアリングを回せば、クルマも向きを変える。グリップのレベルも悪くない。しかし、どうにも、ドライバーの意志と挙動には、いくばくかのズレがある。

よって、ヤリスは楽しむのではなく、機能することがその意義であるという結論に達した。

インテリアは「大躍進」 ただ残念な点も

一方、新しいヤリスのインテリアの質感は今までで一番よいと感じる。

やわらかい手触りのプラスティック、ピアノ・ブラックとクロームのアクセント、スイッチやエア・ベントの高質感など、現行フォード・フィエスタのそれと比べても遜色なく、一段高い質感を確保している。

しかし、たとえばフォルクスワーゲン系の確立した落ち着いた雰囲気はまた別次元ではある。ドライバーのシートの設置位置が高過ぎたり、ステアリングの調整幅が狭く、ペダル類とシフト・レバーの操作感が一貫していない等、ライバルと比べ残念な点はある。

トヨタのインフォテインメント・システムの出来具合も評価を更に下げている。古臭いグラフィックにまぎらわしいメニュー、タッチパネル上のボタンは小さすぎるし、しかも反応が遅い。

そのうえ、Apple CarPlayやAndroid Auto等のスマートフォンにも対応してない。

■「買い」か?

AUTOCARの評価軸だと「買い」ではない

トヨタは、ヤリスというクルマを、魅力的なものに仕立てている。

すべてのグレードに、ブルートゥース、オート・ヘッドライト、オート・ワイパー、衝突防止機能、車線逸脱防止支援システムが標準で付く。

加えて、多くの購入者が選択する「アイコン」と呼ばれるグレードには、エアコン、15インチ・アルミ・ホイール、クルーズ・コントロール、カラーのインフォテインメント・システムに統合されたリア・ビュー・カメラが含まれる。

鉄壁のトヨタ品質や充実のメーカー保証も購入を後押しする大きなポイントであろう。

ヤリスの乗り心地、ハンドリング、品質、インフォテインメントや車内空間はライバル達には及んでいないが、反面、安全で充実している。

では、競争の激しいこのクラスにあって、われわれの小型車における評価テーブルのランクを上げるに十分か?

ドライビング・プレジャーを評価の軸とするAUTOCARにとって、経済性、価格、ファイナンスが弱点を補うことができているとは言いがたい。

トヨタ・ヤリス1.5 VVT-iEエクセル

■価格 £17,495(238万円) 
■全長×全幅×全高 3945×1695×1510mm 
■最高速度 175km/h 
■0-100km/h加速 11.0秒 
■燃費 20.0km/ℓ 
■CO2排出量 112g/km 
■乾燥重量 1125kg 
■エンジン 直列4気筒1496ccガソリン 
■最高出力 112ps/6000rpm 
■最大トルク 13.8kg-m/4400rpm 
■ギアボックス 6速マニュアル