ほどけない靴ひもはないという

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硬く縛ったはずの靴ひもが、運動中や歩行中に突然ほどけて困った経験は誰にもある。「すべりやすい靴ひもだったから」「結び方がゆるかったのかも」と特に不思議に思わない人がほとんどだろう。

ところが、米カリフォルニア大学バークレー校の機械工学の研究者がこの謎を解明した。すると、どんなにほどけにくい靴ひもでも確実にほどける力学が働いていることがわかったという。

結び目に重力と足のスイングの力が加わり、緩める

研究成果は、英学術誌「Proceedings of the Royal Society A(英国王立協会紀要)」(電子版)の2017年4月12日号に発表された。同大学のプレスリリースによると、研究リーダーのオリバー・オライリー教授は3年前、幼い娘に靴ひもをちゃんと結ぶよう教えたが、何度教えてもひもがほどけることに気づいた。そこで、インターネットで靴ひもの結び方を調べると、非常に多くの方法が紹介されていながら、靴ひもがほどける理由について説明した記述がまったくないことに驚いた。科学的に研究されてこなかったのだ。

オライリー教授は2人の大学院生と一緒にこの謎に取り組んだ。実験では、トレッドミル(ランニングマシン)で走っている間に靴ひもがほどけていく様子を超スローモーション映像で撮影した。映像を分析すると、目に見えない力が働き、硬く縛った結びが一瞬のうちにゆるみ、ひもがしなって2つの動作を起こすことがわかった。1つは「鞭打ち」動作で、波型にしなる。もう1つ「ループ状」(らせん型)の動きで、ひもがクルクル回転する。この2つの動作が合わさると、まるで人間の指が結び目をほどいていくようになる。

実際にトレッドミルで何度も走った大学院生のクリスティン・グレッグ氏は、プレスリリースの中でこう語っている。

「走っている人の足が地面に与える衝撃は重力の7倍に上り、加速が非常に高いことに驚きました。ジェットコースターでも最も高い重力は6.3倍です。重力だけではなく、足をスイングする動きも結び目に影響を与えます。僕は非常に硬い結び方とゆるい結び方の2つを試しましたが、ほどけることに関して硬さは関係がありませんでした。まず、結び目の部分に色々な方角から力が加わり、結び目が変形します。そして、ひもが複雑な動作をして、結び目を緩め、ひもの端を引っ張るようにしてほどいてしまうのです」

また、足に見立てた機械を使用した追加実験では、ほどけにくい種類の靴ひもも試してみたが、「絶対にほどけない靴ひもはない」ことが明らかになったという。