食生活の欧米化ということをよく耳にします が、私たち日本人の食事法はまだまだ東洋的な考えに基づいている部分もあります。この食材は体を温める、または冷やすという捉え方は、薬膳に基づいたものです。食材の栄養や体への効果、色、形、香りなどあらゆる要素を組み合わせて、体の調子に合わせた食事をしようという考えが薬膳です。

食事を誤れば体を壊すという考え

中国医学とは、中国において数千年にも及ぶ食・薬・医の知識がまとめられたものです。薬膳は中国医学に沿って考えられた食事療法で、体の調子を改善する食材を選び組み合わせて作られる料理のことです。「薬」という字からは、野菜しか使わないベジタリアンなイメージをもつかもしれません。しかし薬膳料理では肉や魚も使い、油をしっかり使って料理することもあります。また薬膳といっても漢方に使われる食材のみを使うわけではなく、スーパーに並んでいるような身近な食材も薬膳の材料となります。薬食同源という言葉は薬膳の考えをうまく言い表した言葉です。食品は結局は薬と同じ、食べるものがよければ健康でいられるし、食べるものを誤れば健康を害するという意味です。

薬膳における分類法

薬膳では食材を主に五味(ごみ)、五性(ごせい)、帰径(きけい)の3つの考え方に沿って分類し、体への効果を考えてこれらを組み合わせて調理します。

●五味

「酸、甘、辛、苦、鹹(かん…塩辛さ)」の五つの味のことであり、それぞれが五臓に強く作用するとされています。

・酸…筋肉を引き締める
・甘…痛みを抑え、滋養作用がある
・辛…発散、発汗作用がある
・苦…炎症を抑える
・鹹…軟化作用がある

●五性

体を冷やしたり温めたりする食材の効能を「涼・寒・平・温・熱」で表しています。

・寒…涼よりも体を冷やし、鎮静、消炎作用がある
・涼…体を冷やし鎮静、消炎作用がある
・平…寒・涼・温・熱以外のもの
・温…体を温め、興奮作用がある
・熱…温よりもさらに温め効果が高く、興奮作用がある

●帰径

食材がどの臓器に働きかけるか道を示したものです。

・大腸…バナナ、イチジク
・肺…小松菜、ピーマン
・脾臓…大豆、さんま
・腎…白菜、ほうれん草
・心臓…あずき、しいたけ

家でもカンタンに取り入れられる薬膳

薬膳といっても難しく考えることはなく、例えばおかゆを作り、体の調子に合わせた食材をトッピングするだけで立派な薬膳料理となります。また旬の食材を使うことは薬膳の考えに合っています。夏の食材は体を冷やし、冬の食材は温めるなど、その季節に合った健康効果が得られるからです。薬膳は体調を整える自然の薬です。家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。


writer:Akina