国際情報筋は、4月上旬の米中首脳会談と電話会談を受けて、両国が連携して「北朝鮮の核放棄」へ圧力をかけている、と指摘。米国がは軍事的な圧力を高め、中国は経済制裁強化で呼応。「中国の仲介による米朝対話の可能性が高まっている」と見ている。写真は朝鮮半島地図。

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2017年4月16日、朝鮮半島情勢に詳しい国際情報筋は、4月上旬の米中首脳会談と電話会談を受けて、米国、中国が連携して「北朝鮮の核放棄」へ、強い圧力をかけている、と指摘。米国は軍事的な圧力を高め、中国が経済制裁強化でこれに呼応。「中国の仲介による米朝対話の可能性が高まっている」と分析している。

北朝鮮が6日にミサイル発射実験を行ったが、失敗した。核実験ではなく中距離ミサイルであり、「抑制」のサインと見ることもできる。

米中首脳会談と相次ぐ電話会談を受けて、米政府は、中国が北朝鮮に対し、金融システムや貿易などの分野で、様々な制限的な対応を講じると確信している。北からの石炭輸入を抑制する措置を発表したが、今後も同様な措置が取られるだろう。

ただ国境に接している中国にとって、北朝鮮の体制の安定・維持は基本的な重要な要素となっている。朝鮮半島でいかなる政治的な変化も、中国の利益にならず、体制の変化を望んでいない。米中が合意しているのは「北朝鮮の非核化」であり、米国も金体制の崩壊まで踏み込まない方針だ。

今後の注目点は、朝鮮半島近海に急派された空母カール・ビンソンに、横須賀基地で修理中のロナルド・レーガンが合流するかどうか。サンディエゴからミニッツ空母が駆けつけることも考えられるが、かなりの日数を要する。北朝鮮の核施設を破壊するためには、B1爆撃機やB52爆撃機が必要で、グアム、日本の米軍基地に運んで待機させる必要がある

さらに、韓国に駐留する米軍を大幅に増強せざるを得ず、目に付くことになる。軍の家族や在韓米人への退去命令も必要で、相当の日数を要し、目立つことになる。今のところこれらの措置はとられていない。

米国は北朝鮮への圧力を強めているが、「体制崩壊」までは考えていない。トランプ政権は北朝鮮が核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)で米国を攻撃する能力を持つようになることを許さない。2年程度の期間を要する。

米メディアは米高官の話として「最大限の圧力と関与」で臨むと報道。対話に通じる「関与」を盛り込んだ。この前提のもと、米国は中国が「非核化」という共通の目的に向けて積極的に対応することを期待している。

国境を接する中国にとって、核やミサイルを保有するに至った北朝鮮の挑発的な行動は深刻な問題である。中国が国境地帯に軍隊を配備し、有事に備えているとの情報もある。

中国メディアの報道に注目すべきである。12日の電話会談後、共産党機関紙・人民日報系の環球時報が「北朝鮮は自国の安全保障のため、核・ミサイル開発を中止すべきだ」という強い論調の社説を載せた。中国は北朝鮮からの石炭輸入を中止しただけでなく、石油の輸出も減らす意向を示し、4月14日には、中国国際航空が北京発平壌行きの運航を停止すると決定。この措置は北朝鮮の観光収入の激減につながる。

米国の軍事的圧力や中国の経済制裁本格化に金正恩政権にとっても危機的な状況。米国も「金暗殺」など体制の崩壊は目指さず、「非核化」実現を最優先する方針を示している。米中連携による「瀬戸際圧力」に対し、北朝鮮も敏感に反応。外交委員会を19年ぶりに復活させるなど対話に向けた方策を模索している。米中の「核実験中止」要求に応える可能性も出てきた。中国の仲介による米朝対話の可能性が出てきた。(八牧浩行)