脳梗塞は、発症から3〜4時間以内であれば血栓溶解療法(t-PA療法)で薬を使用し、血の塊を除去する。しかし、成功率は高いとは言えないとする専門家も少なくない。
 「心原性脳塞栓症は、発症から10年間の再発率が7割と言われ、他の脳梗塞も半数近くで再発が見られる。ただし、これらを防ぐには血栓を作りにくくする治療薬(ワーファリン)などがあるし、専門医にかかれば、予防的知識を得ることもでき、対策はとれます」(同)

 そんな中、脳梗塞を引き起こす原因で最も怖い心房細動は、心臓で血液がよどみ、流れにムラができて固まりやすくなる状況で起きる。
 「血の塊が血管の中を通って脳に運ばれ、脳梗塞を起こす。血栓は時に指先ぐらいの大きさになることもあります。これが脳の太い血管を塞ぐと重症化する。心房細動は突然発症すると、ドキドキする、気持ちが悪くなるなどの症状が出ることもありますが、慢性化すると気が付かない場合も多い。健康診断の心電図で偶然発見されるといったケースも多いのです」

 これにより、脳の血管が詰まると脳梗塞、心臓の血管が詰まると心筋梗塞になり、どちらも7〜8人に1人は死亡するという。そのため、心房細動対策が最重要のポイントとなってくる。診察で心房細動が見つかった人で、高血圧、糖尿病、75歳以上、一過性脳虚血発作(TIA)のうち、二つ以上当てはまる場合は、さらに脳梗塞のリスクが高まるため、積極的な予防をする必要があるという。
 総合病院厚生中央病院の心臓血管外科外来担当医は、こう言う。
 「心房細動は不整脈の一種で、日本人の推定患者数は約170万人。頻脈、動悸、胸部の違和感などが、その症状とされます。一般的な治療は抗不整脈薬と抗凝固薬による薬物治療ですが、不十分の場合は、脚の付け根や首の太い血管からカテーテルを通し、原因となっている“信号伝達”の異常な部分を焼灼するカテーテルアブレーションを行います。この方法は優れた治療法には違いないが、再発することも多く、完全に心房細動を止めることは難しい。さらに脳梗塞の予防治療にもならないため、結局はワーファリンなどによる抗凝固薬治療が優先されます」

 ワーファリンは従来から広く使用されているものだが、服用期間は納豆や海藻類といったビタミンKを多く含む物は食べられない。効果が半減してしまうためだ。また、血液を固まりにくくするための抗凝固薬の服用は出血しやすくなるなど、危険をはらんでいることも確かだ。そのため、ワーファリンの服用にあたっては、1〜2カ月に一度は血液検査を受け、薬量を調整する必要があるなど、使いにくい面もある。

 脳梗塞は生活習慣病の他に、急に首をひねる運動や整体、ゴルフ、野球なども引き金になる脳動脈解離が原因となる場合があるという。
 「よく首を回してボキボキ鳴らしている人がいますが、実は危険な動きであることを知っておきましょう。首の後ろの動脈は大事なところ。ここをむやみに揉みほぐそうとしたり衝撃を与えるのは危険なのです。もしズキズキと頭が痛む場合は、脳動脈解離の疑いもあるため、早めの対処が必要。水分をよく摂り、安静にすることも大事です」(医療関係者)

 老若男女を問わず、倒れてからでは遅い。予防知識だけでも頭に入れておこう。