4月は入社の季節。街角でもスーツを着込んだ社会人1年生をよく見かける。長い社会人生に踏み出すフレッシュマンに「頑張れよ」と声をかけたくなる。

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4月は入社の季節。街角でもスーツを着込んだ社会人1年生をよく見かける。長い社会人生に踏み出すフレッシュマンに「頑張れよ」と声をかけたくなる。

大学生へのアンケート調査によると、毎日、新聞を読む学生が少なくなっているという。常にキャッチしようと心掛けている情報はテレビ番組、スポーツ、ファッション。小遣いの使途も上位から、飲食代、ファッション、デートで、習い事も含めた教養は6位。娯楽が10位。何に関心を持っているかでも、交友関係、異性関係、自分のライフスタイルといった個人的なものへの関心度が高く、世界のことや日本社会への関心度が極端に低い。

このような結果が出ているのは、たぶん偏差値教育で疲れきって大学に入り、大学生活が、社会人になる前の息抜きの世界になっているからではなかろうか。

新入社員がせっかく社会人として一歩を踏み出したのに、2〜3カ月で「こんなはずではなかった」と会社を辞めるケースも後を絶たないようだ。本人にとっても企業にとっても不幸なことである。日本的な終身雇用を基本とする日本的経営が崩壊し、「転職社会」「非正規雇用」が当たり前になった昨今、「石の上にも3年」という忍耐を説く格言は死語になったのであろうか。就職試験前に、企業で体験入社する「インターン制」の活用により、ミスマッチを防ぐことができるだろう。

もちろん、大半はいったん企業に入ると、企業の研修プログラムのって見事に企業人に染まっていく。彼らの柔軟性と順応性のなせる技なのであろう。しかし、企業社会からさらに大きく、国家や国際社会に対しての意識となると残念ながら非常に希薄である。

過去を反省し、ただ単に資金援助、技術協力で世界に貢献するだけでなく、世界の範となりうる新しい日本の国造りは、彼ら若者に期待せざるを得ない。それだけに、国民の幅広い参加の下、若者が生き生きと仕事にまい進し、国と国際社会に貢献できるような環境づくりが、これからの課題であろう。

立石信雄(たていし・のぶお) 1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長、財務省・財政制度等審議会委員等歴任。
北京大学日本研究センター顧問、南開大学(天津)顧問教授、中山大学(広州)華南大学日本研究所顧問、上海交通大学顧問教授、復旦大学顧問教授。中国の20以上の国家重点大学で講演している。