慶應義塾大学医学部、筑波大学医学医療系の教授らの研究グループは、脳梗塞後の炎症反応を収束させる遺伝子群を新たに発見し、この遺伝子群を制御して炎症を早く収束させて神経症状を改善できることが明らかになったと発表した。

脳梗塞発症後の治療開始可能時間を広げる治療法の開発につながり、脳卒中医療に役立てられるという。

慶大と筑波大などのグループ

脳梗塞は脳卒中の一つで、脳の血管が詰まることにより生じる。現在の主流の治療法は、血栓溶解または血栓除去により詰まった血管を再開通させることだが、発症後数時間以内でなければ効果がなく、治療を受けられる患者は限られていた。

脳梗塞後の脳組織では炎症反応が起きて脳梗塞巣が拡大し、脳浮腫や神経症状の悪化の原因となるため、炎症を早く収束させる治療法の開発が期待されているが、炎症収束のメカニズムが分かっていなかった。

研究グループは、壊死した脳組で産生される炎症惹起因子が炎症を引き起こすことを明らかにし、この炎症惹起因子を効率的に排除する遺伝子群(Msr1、Marco、Mafb)の発見に成功。炎症は病原微生物などに対する生体の自然な防御反応だが、今回の研究により、脳梗塞のように病原体が関与しない無菌性炎症を収束させるメカニズムが解明された。

厚生労働省の「平成27年(2015年)人口動態統計」によると、脳梗塞による死亡者数は同年、6万4523人。脳梗塞を含む脳血管疾患で亡くなった人は11万1973人。ほかの主な脳血管疾患の死亡者数は、くも膜下出血1万2476人、脳内出血3万2113人。