三宅義和・イーオン社長

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■下手な英語でも一生懸命に話すから伝わる

科学技術の発展に伴い、いろいろ便利なものが世の中に登場してきました。Google翻訳などの翻訳ソフトは急速に性能を向上させています。スマートフォンにそうした翻訳ソフトをいれておけば、「自動翻訳機」として使うこともできます。翻訳ソフトの性能向上は、非常に好ましいことであって、生活が便利になるわけですから否定する必要は全くありません。ただし、それですべての問題が解決することはありえない。要は、使い方次第です。

例えば、グローバル化した大企業における英語での経営会議を想像してみてください。おそらく、自分がプレゼンテーションをしている最中であっても、何か疑問や反対意見があれば、相手は質問や異議を差しはさんでくるでしょう。そんなときは、何はともあれ自分の口で切り返さなければ負け。自動翻訳機を使っているヒマはありません。

イーオンで学ぶビジネスマンたちに話を聞くと、「仕事の現場では専門分野をきちんと理解しているから英語でも大丈夫です」と答えます。ところが「ビジネスが終わって、その後の懇親会や食事会のときに何をしゃべっていいかわかりません。コミュニケーションが取りづらい」と、困った顔で言います。

とはいえ、そうした場所に自動翻訳機を持って行くわけにはいきません。今後、その機能が飛躍的に向上し、自分が話した日本語がリアルタイムで英語に訳されたとしても、私はやはり自分の声で英語をしゃべりたいと思います。下手な英語でも一生懸命に話すからこそ、相手も心を開いて、実のある会話ができると考えています。

■学校という存在はいつの時代でも求められる

翻訳ソフトを教材として見たとき、授業に導入していける可能性はかなり高いのではないかと考えます。新しいツールを使いこなすということも教育の現場では必要なことだからです。おそらく、翻訳ソフトを使ってみたいという生徒さんもいることでしょう。その際、私たちが配慮すべきは正しい使い分けだと思います。

私は、英語でスピーチする必要があると、話すべき日本語を翻訳ソフトで英語にしてみます。すると、複数の例文が紹介されますが、これが実にありがたい。どれを選択するかは私の判断なのですが、「これは今回のイベントにはそぐわない」とか、「この表現だとピッタリだ」と決めていけばいいので、とても便利です。翻訳ソフトもそのように、使う際のコツを1人ひとりが身につければいいでしょう。

しかし、英語の勉強はやはり語学の習得だけが目的ではないはずです。とりわけ、英会話学校に通い、教師や生徒さんたちとフェーストゥーフェースで共に学ぶことの意義は何物にも代えがたいものです。自分自身の成長という観点から見ても、人間と人間が前向きに切磋琢磨できる場、すなわち学校という存在は、いつの時代でも求められると信じています。

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三宅義和(みやけ・よしかず)
株式会社イーオン代表取締役社長
1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。85年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人 全国外国語教育振興協会元理事、NPO小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、心身統一合氣道。

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(三宅義和・イーオン社長 岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)