NBAプレーオフ2017・ファーストラウンド展望@ウェスタン編

 2017年のNBAプレーオフが4月15日(日本時間4月16日)に開幕する。過酷な82試合のレギュラーシーズンを戦い抜いた東西上位8チームずつが頂点を目指して激突。ファーストラウンドを勝ち抜き、カンファレンス・セミファイナルに駒を進めるのはどのチームか――。まずはウェスタン・カンファレンスの全4カードの見どころをチェックしておこう。


ジェームス・ハーデン(左)とラッセル・ウェストブルック(右)が1回戦で激突ゴールデンステート・ウォリアーズ(1位/67勝15敗)
vs.
ポートランド・トレイルブレイザーズ(8位/41勝41敗)

 昨季、レギュラーシーズン73勝のNBA新記録を打ち立てたウォリアーズ。今季はケビン・デュラント(SF)の加入により、「さらに勝ち星を増やすのでは?」とささやかれていた。フタを開けてみれば67勝でレギュラーシーズンを終えたが、それでもリーグ最高勝率を記録。3季連続でシーズン65勝以上を挙げた史上初のチームとなった。つまり、ウォリアーズが今年のプレーオフでも最注目すべきチームであることは揺るがない。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 ウォリアーズの武器は、なんといっても爆発的なオフェンス力だ。1試合のチーム平均得点(115.9得点)はリーグナンバー1。ただし、個人成績に目を向けると、デュラントやクレイ・トンプソン(SG)とボールをシェアしなければならず、エースのステファン・カリー(PG)の得点は昨季の平均30.1得点から平均25.3得点まで下降している。だが、「不調なのでは?」と指摘されたカリーは、インタビューでこう答えている。


design by Unno Satoru「KD(ケビン・デュラント)のような選手が加われば、よりバランスのとれた攻撃をするのが当然」

 昨季のNBAファイナルでは、3勝1敗と王手をかけながらクリーブランド・キャバリアーズに逆転で優勝を奪われた。その理由のひとつとして、カリーが疲弊していたためにパフォーマンスが落ちていたという声も強い。体力を温存するためにも、ファーストラウンドでもたつくわけにはいかない。

 しかし、対するトレイルブレイザーズは意外に曲者だ。デイミアン・リラード(PG)とC・J・マッカラム(SG)の2枚看板ガードを擁する彼らは、シーズン序盤で低迷したものの、トレードでユスフ・ヌルキッチ(C)を獲得すると成績が急上昇した。

 オールスターブレイク後の残り27試合を19勝8敗の快進撃。勝率.703とリーグトップクラスの成績を残し、第8シードの座に滑り込んでいる。好調の原動力だったヌルキッチが3月30日のヒューストン・ロケッツ戦で右足の腓骨を骨折したのは痛いが、「最低2週間の離脱」と発表されているだけに、ヌルキッチが復帰できれば一矢報いることも……。

 そして、勝負の行方はもちろんだが、両チームのスコアリング合戦にも注目したい。今季の1試合最多得点はデビン・ブッカー(フェニックス・サンズ/SG)の70得点だが、2位はトンプソンの60得点で、3位がリラードの59得点。典型的な「入り出したら止まらないタイプ」の2選手のゴールの獲り合いは必見だ。

サンアントニオ・スパーズ(2位/61勝21敗)
vs.
メンフィス・グリズリーズ(7位/43勝39敗)

 驚異の20シーズン連続プレーオフ進出――。常勝軍団スパーズの上位シード獲得は、もはや4月の風物詩と言っていいだろう。しかも、今季のスパーズは例年以上に強い。初めて2季連続で60勝を超え、まさに充実期を迎えている。

 チームの武器は抜群の安定感。それを支えているのは、リーグ2位の1試合平均98.1失点を記録した守備力だ。一方、オフェンスでは平均得点25.5得点のカワイ・レナード(SF)がエースとなり、順調にチームの核として成長している。

 対するグリズリーズは、リベンジのチャンスを手に入れて武者震いしているだろう。というのも昨季、両者はファーストラウンドで顔を合わせ、スパーズにスウィープされたからだ。昨季のグリズリーズは、マーク・ガソル(C)とマイク・コンリー(PG)の両輪を故障で欠く満身創痍の状態だった。今季はガソル、コンリーともに健康な状態で臨んでおり、昨年の借りを返すには絶好の舞台が揃った。

 また、スパーズには兄パウ・ガソル(C)、そしてグリズリーズには弟マーク・ガソルがいる。真剣勝負の「スペイン人兄弟対決」にも注目したい。

ヒューストン・ロケッツ(3位/55勝27敗)
vs.
オクラホマシティ・サンダー(6位/47勝35敗)

 今季もっともリーグを驚かせたチームのひとつがロケッツだろう。ウォリアーズに次ぐリーグ2位の1試合平均115.3得点を武器に勝ち星を量産。昨年の第8シードから第3シードへとステップアップに成功した。しかし一方で、1試合の平均失点はリーグ30チーム中26位の平均109.6失点だった。

 このように「完全オフェンス特化型」のロケッツ最大の武器はスリーポイント(3P)シュートだ。リーグ最多の1試合平均40.3本の3Pシュートを放ち、「入れば大勝」「入らなければ大敗」のギャンブラー的カラーが特徴と言える。

 しかし、これは決してイチかバチかの戦略ではなく、最新の統計学から導かれた戦術。”マッド・サイエンティスト”と呼ばれるGMダレル・モーリーの「もっとも効率的に得点するためには、ミドルレンジのシュートと成功率がさほど変わらないなら3Pシュートを打つべき」という哲学を具現化したものだ。いうならば、最新のバスケットスタイル。ロケッツは2月にロサンゼルス・レイカーズから3Pシュートと1on1のうまいルイス・ウィリアムス(SG)を獲得し、さらにオフェンス力に磨きをかけている。

 しかし、ノーガードの殴り合いならサンダーも上等だろう。シーズントリプルダブルを達成したラッセル・ウェストブルック(PG)は、3月29日のオーランド・マジック戦で57得点・13リバウンド・11アシストという驚異的な数字をマークするなど、点の獲り合いは大得意。相手のディフェンスがザルなら、なおさらだ。

 さらに、ウェストブルックの活躍でかすみがちだが、今季のサンダーはスティーブン・アダムス(C)とエネス・カンター(C)のビッグマン2枚を要し、リーグナンバー1のリバウンド力(1試合平均46.6本)を誇る。オールドスクールな格言からすれば、「リバウンドを制するものは、ゲームを制す」。つまり、ロケッツvs.サンダーの一戦は、「新旧スタイルの対決」とも言えるだろう。

ロサンゼルス・クリッパーズ(4位/51勝31敗)
vs.
ユタ・ジャズ(5位/51勝31敗)

 5年ぶりにジャズがプレーオフの舞台に帰ってきた。ジョー・ジョンソン(SF)、ジョージ・ヒル(PG)、ボリス・ディアウ(C)らを開幕前に獲得したのが大きいが、躍進できた最大の理由はルディ・ゴベール(C)の急成長だろう。平均14.0得点、12.8リバウンド(リーグ4位)、2.6ブロック(同1位)と、ほぼすべてのスタッツでキャリアハイを記録している。

 216cmの恵まれた体格を持ち、キャリア4年目で伸び盛り。リムプロテクター(ゴールを防ぐ守護神)としてリーグ屈指の存在だ。ゴベールの活躍によって、今季のジャズの1試合の平均失点は96.8点とリーグ最少を記録。本人も「現時点でリーグ最高のセンターは俺だと思う」と頼もしい発言をしている。

 対するクリッパーズは、レギュラーシーズンのラストを7連勝で締めくくり、好調を維持したままプレーオフに乗り込んできた。リーグ屈指のバスケIQを誇る司令塔のクリス・ポール(PG)が「最強の盾」を誇るジャズのディフェンスから得点をどう奪うのか――。強豪チームから次のステップに上がるためにも、ファーストラウンドは落とせない。

 以上、ウェスタンの全4カードを見ると、ウォリアーズやスパーズを筆頭にシード上位チームの有利は揺るがないだろう。しかし、今年のシード下位はひとクセもふたクセもあるチームばかり。ファーストラウンドで思わぬ波乱があっても、それほど驚くことではない。

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