2011年、ドイツの電子機器見本市でロボットが案内役を務める(GettyImages)

写真拡大

 ロボット工学や人工知能(AI)の進歩により、機械はよりスマートになり、ますます人間が行う作業に置き換わるようになった。ロボット代行についての議論は絶えない。しかし、人類史を見ると、人間のすべての労働が機械に代行させられるほど単純ではないことがわかる。

 マッキンゼー社シカゴ支部トップ、Mehdi Miremadi氏は、「40〜50年におよぶオートメーション化の歴史が与えた社会への影響を見ると、(ロボット代行は)今日話されているような内容ではなく、はるかに複雑な話であることがわかる」と述べる。

 オートメーション化は明らかに多くの仕事を細分化させた。しかし、それはまた、ロボットが作業現場に入り込む前になかったような、新しい分野の雇用を創出してきた。

 例えば、金融業界に1990年代の自動預け払い機(ATM)が大量に取り入れられても、銀行窓口の仕事は減らなかった。 出納係の仕事は2000年以来増加し、さらには全体的な業界の雇用を持ち上げた。エコノミストであり作家のジェームス・ベッセン(James Bessen)が最近、その分析を自身のネットラジオ番組で示した。

 銀行員は現在、機械が行うことのできないより複雑な仕事に従事している。

 オートメーション化の世界で、人類とロボットの対立はよく見られる話だ。実際、人類は雇用を失うとの危険性を示す研究は多い。最も悲惨な予測の1つに、オックスフォード大学の研究者カール・フレイ氏とミシェル・オズボーン氏の研究がある。彼らは2013年、米国の職業の約47%が自動化のために危険にさらされていると推計した。

 しかし、この調査では、すべての仕事が単純に機械が代行するという方法が適切かどうかが疑われた。実際、2016年の経済協力開発機構(OECD)のデータでは、米国雇用の9%がオートメーション化により消滅の危機にあると低い予測を出している。OECDは、職業ではなく仕事に基づいて計算した。

 コンサルティング会社大手マッキンゼーによる別の調査では、仕事やタスクではなく、労働作業に焦点を当てた。ここでは、800種の職場で2000もの作業を分析。米国の就労の46%は、オートメーション化する可能性があり、その賃金は約2.7兆ドルに相当するという。

 世界4大会計事務所の一つ、PwCのFinTechユニット主席ディーン・ニコラカキス氏によると、金融サービス業のような複雑なビジネスは、オートメーション化される作業が多いと分析する。

 最近、PwCは、米国の雇用の38%が2030年代初頭までにオートメーション化する可能性があると報じた。英国(30%)ドイツ(35%)日本(21%)よりも、米国が最も高い数値となった。さらに、米国の金融・保険業界は、英国の約2倍(それぞれ61%、32%)がオートメーション化の影響を受けると指摘した。PwCは、この格差が、英国の金融専門家の平均教育水準が米国の教育水準を上回るからだと説明する。

(つづく)

(英文大紀元エミール・エーキャン/翻訳編集・佐渡 道世)