会社に頼る時代から、スキルをつけて自らの手でキャリアを切り拓いていく時代へ。そんな、今20〜30代のミレニアル世代に広まりつつある生き方の極意を、当事者たちにインタビュー! 新しい働き方やその原点について紐解きます。

七尾エレナさん/株式会社プリンシパル 代表取締役
2015年に自身が立ち上げた、株式会社プリンシパルの代表取締役を務める七尾エレナさん。大学卒業後、新卒で入社した会社を1年半で退職し、ソーシャルマッチングサービスを提供する会社に"雇われ社長"としてCEOに就任するなど、弱冠27歳とは思えぬ経歴の持ち主。安定した会社員のポジションを捨て、自らの力を信じて挑戦する。そんな新時代のキャリアスタイルを実現した七尾さんに、自身のキャリアの歩みと、女性の起業についてお話を聞きました。

―まず、会社の事業内容について教えてください

企業の商品開発や商品発売後のPR戦略に対して、一般の女性の意見を集めてレポートを作成する、女性特化のマーケティングリサーチ事業を行う会社です。

自動車メーカーからの依頼を例に挙げると、女性の中でも特に車を頻繁に使うママ世代の女性達に実際に試乗してもらい、該当車種が生活のどのようなシーンで活用できるかということを探りました。その結果をウェブコンテンツ化したものを、メーカーが自社のランニングページに掲載するという流れです。現在は、そういったコンテンツマーケティングが主軸になりますね。

私は大学卒業後、マーケティングリサーチ事業を行う企業に新卒として入社したのですが、このビジネスモデルはその経験が活かされています。女性のつながりを活かせる企画を得意としているのですが、私自身、学生時代にモデル事務所に所属していたことがあり、その現場で仲良くなった女の子達とのコネクションも今に生きていますね。

―新卒で入社した会社を退職後、ソーシャルマッチングサービスを提供する企業「株式会社部活部」のCEOに就任されましたが、そこに至るまでにどのような経緯があったのでしょうか?

新卒で会社に入った時、すでに起業したいなっていう思いが漠然とありました。それで、投資家や経営者の方達が集まる飲み会に頻繁に顔を出して、彼らの話を聞いたり、自分の考えを聞いてもらったりしていたんです。その中で出会ったのが堀江貴文さんでした。その時、堀江さんは自身の出資とアイデアのもとにスタートさせようとしていた事業をいくつか抱えていて、「その中の1つの事業を運営してくれる社長を探しているのだけど、やってみないか?」と私に提案をして下さり、そのまま代表として採用していただいたんです。投資家の方達は、ビジネスモデルを持ってはいるけれど、それを実際に、社長として運営してくれる人を探されていることが多いんですよ。

―なるほど。とはいえ、新卒で入社した会社に1年半在籍した後、いきなり社長に就任されたわけですよね。迷いや不安はなかったんですか?

もちろんありました。その会社が一部上場企業であったこともあり、両親をはじめ周囲からは「もったいない!」と反対されました。当時の直属の上司は「ホームレスになるぞ!」って心配してくれたりして。でも、ある程度はマーケティングリサーチのやり方もわかったし、そこに磨きをかけるのであれば、そのスキルを使って違う方面で活躍したいと考えて、思い切って決断をしました。

―実際はどんなお仕事をされていたんですか?

マッチングアプリを運営する会社で、はじめに堀江さんを始め数人の投資家から「資本金を出資するので、こういった企画のアプリをヒットさせて欲しい」というミッションを与えられ、仕事の裁量はすべて私に委ねられました。アプリの開発からはじまり、ローンチして、どこにお金を投下してユーザを増やすか。実際、サラリーマン上がりだった私には理解できないことばかりで、広告に100万円出したは良いけれど効果が出ているのかよくわからない…なんて、無責任なことをやっていたんです。そうこうするうちに、1年で資本金を使い切ってしまって…。投資家達の期待通りの結果を出すことができず、かなりのご迷惑をかけてしまいました。そのタイミングでちょうど代表取締役の任期満了だったこともあり、その後に退任しました。

―そこからの今の会社の起業を?

そうです。退任して、他人から与えられたお金という甘えがあって、経営計画をおろそかにしていたんじゃないかと、すごく反省しました。だから次に挑戦するなら、絶対に自分のお金だけで起業したいと考えたんです。ただ、そうなると資金はすごく限られる。「自分にできるビジネスってなんだろう?」と考えた時に、プロジェクト単位で売り上げが立ち、かつ自分の経験を活かす事のできる現在のビジネスモデルに辿りつきました。

―起業に向けて、実際にどんな準備をしましたか?

自分のポケットマネーでまかなえる、30万円を資本金に会社を設立しました。登記に必要となる、最低限の金額ですね。

そもそも起業には、投資家から資金を出資していただくケースと、自己資本や金融機関からの融資ではじめるケースの2パターンがあります。前者は、負債リスクはないけれど、投資家が経営に意見する場合もあり、自分が思い描く通りに物事を進められないことも。後者は、すべての意思決定を自らが行い、思うように挑戦することができる。しかし一方で、負債を背負うリスクがあるため、マネタイズ可能な事業モデルをしっかりと組んでいかないと、当然倒産してしまう可能性もあります。

それでも、私は自社株を100%保持して経営するスタイルを選びました。エクセルでの資金の想定にはじまり、クライアント候補の選定、スタッフの雇用などすべて自分で行なっています。

―「株式会社プリンシパル」を2015年に設立して、今年で3期目に入ります。側から見ると、順調な道のりに見えますが?

いろいろと困難なこともあります。特に1年目は、シミュレーション通りにいかないことが多くて。予期せぬトラブルは、クライアントワークにつきものだったりすると思うのですが、設立当初に大きなトラブルを起こしてしまい、負債を抱えた時期もありました。最近は軌道にのってはいるものの、経営を安定して継続していく難しさを痛感していますね。

―なぜ、そこまで大変な思いをしてまで、会社員ではなく経営者の道を選ぶのでしょうか?

実は私、3歳の時にクラシックバレエをはじめて、高校生までプロを目指して練習を続けていたんです。その経験から、努力は実力として自分に返ってくるものだと信じていて。仕事が忙しくて、毎日終電が続いたこともあった会社員時代は、「結婚さえすれば、この辛い状況から逃れられるんじゃないか」と考えたりしたこともありました。お金持ちの人と付き合って、養ってもらえば良いんじゃないかって。でも、そんな理由で男性とお付き合いをしようとしても、全然幸せじゃないことに気付いたんです。自分で勝ち取ったお金で遊んでこそ楽しいんですよね! できないことができるようになった時に、生きがいを感じる。昔から変わらない、体育会系な性格によるところが大きいんじゃないかな(笑)。

―今後の目標は?

まだ具体的な予定があるわけではないんですが、いずれ、女性として結婚と育児、そして仕事のすべてをうまく両立させたいという思いが強くあります。その上で、まずは自分がいなくても運営が成り立つ、組織づくりをしなくてはならないなと考えているところです。

―最後に、ミレニアル世代の読者たちにアドバイスをお願いします

私の周りにいる同世代の女性達を見ると、どこか傷つくことを恐れて、高い目標設定をしなくなっている人が多いんじゃないかと思うんです。私の場合、無理難題も死にもの狂いで取り組んでいくうちに何とかやり遂げられて、後から振り返ってみると「一体、何に対してそんなに恐れていたんだろう」って思うことが多いんですよね。案外、傷ってすぐ癒えるし。だから、女性の皆さんには目標を持って前に進んで欲しい! 現状に満足せずに、是非挑戦を続けてください。突っ走ると、何事もなんとかなるものですよ(笑)。