【詳細】他の写真はこちら

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は、特撮大好き小出部長がその公開を待ち望んでいたあの毛深い巨神による大ヒット作へ。終演後、小出部長は席から立てなかった……。


活動第34回[前編]「キングコング:髑髏島の巨神」

参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、世武裕子、福岡晃子(チャットモンチー)




やっぱり最後はオタクが勝つんだなって思いました


──「みんなの映画部」第34回目です。今回は『キングコング:髑髏島の巨神』をIMAX 3Dで観てきました。すでに感想会前から感想がこぼれてしまっている部長ですが(笑)、まずは恒例の一言を。


小出 超〜〜〜最高でした! いやぁ、もう2000点ですね。点数で言えば。


福岡 コイちゃん、映画が終わったときから「このままもう1回観たい」って言ってた(笑)。


小出 うん。そんなこと、俺はなかなかないよ? 続けてもう1回観たかったし、それか、もうこのまま余韻に浸って帰りたかった(笑)。しかもこの監督(ジョーダン・ボート=ロバーツ)のデビュー作だからね。


福岡 え〜っ!! マジで?


世武 それがいちばん「え〜っ!!」ってなった。マジで?


──インディペンデントで『The Kings of Summer』 という長編を1本撮ってますが、デカいのはこれが初めて。1984年生まれの新人監督です。


小出 メジャーデビュー作ですよ。すごくね? それでこの完璧なクオリティだよ?


世武 すごい! まぁお金があるとはいえさ。


小出 っていうか、新人に何百億円規模の仕事を任せる? っていう。


世武 それもすごいよね。やっぱりハリウッドはいろいろすごいな。


福岡 なにもかもケタ違いやな。


小出 あとね、やっぱり最後はオタクが勝つんだなって思いました。


世武 あぁ、それはあるだろうね。


小出 この映画はもう完全に「オタク力(ぢから)」勝ち(笑)。


──俺のベストテン全部のせ、みたいな(笑)。


小出 そうそう。「俺がカッコいいと思うやつ観て!」って。それをすごいバジェットで全部やりました! っていう。


世武 だからこだわりがすごいというか、作りが細かいもんね。単純にバジェットがあるからって良いものができるとは限らないから。


小出 そう、ディテールはめっちゃ大事じゃないですか。だけど全体のノリとしてはシンプルに理屈抜きに盛り上がれて、最後は「頑張れコング!」って思わせちゃう。ノリはもう「東宝チャンピオンまつり」ですよね。


──たしかに!(編註:「東宝チャンピオンまつり」とは昭和時代、春休み・夏休み・冬休みに組まれた子供向けの興行企画。『ゴジラ』シリーズやアニメ映画など、雑多な数本立てのプログラムが組まれた)。


小出 たぶん監督は、ヒーロー的に応援できる怪獣映画が子供の頃からずっと好きだったんでしょうね。


福岡 監督、アメリカ人だよね?(笑)。


 


エヴァ臭をいっぱい感じました


──日本のポップカルチャーに影響を受けたハリウッド映画は最近すごく多いけど、この映画は特にモロ出しですね。予告編のときから小出部長は「この監督、絶対に『エヴァンゲリオン』を観てる」って言ってました。


小出 それは間違いないでしょう。


福岡 たしかに! 私もエヴァ臭をいっぱい感じました。


小出 最初の怪獣がヘリコプターをバッタバタ倒していくのはもう『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の弐号機じゃん。


福岡 そうだね。私も背骨がある時点で「あ、エヴァやん」って思ったもん(笑)。


小出 そうそう。夕焼けをバックに立っているところは、あれは参号機だもん。


福岡 本当だねぇ!(笑)。


パンフレットを片手にスマホでエヴァのあのシーンを検索して比較し、「ほらーーー!!!」と得意げな表情をみんなに見せていた小出部長。


小出 しかもめっちゃカッコいい(笑)。スカル・クローラーっていう敵怪獣がコングにたかっているとき、俺ちょっと口に手を当ててあんぐりなってたもん(笑)。スカル・クローラーもエヴァのオマージュだよね。


福岡 使徒だよね。


小出 造形的にはどちらかというと最近の使徒じゃないですか?


福岡 うん。エヴァっぽいと言われたら、なんかいろいろ納得した。コングって人間の敵じゃないかも? っていうところを残している感じとかも。


小出 キングコングと人間の関係は、東宝映画の『キングコング対ゴジラ』(1962年)に近いと思った。オリジナルの『キングコング』(1933年)とかそのあとのリメイクだと島民が生贄を捧げたりしていて、それでヒロインが捧げられそうになったりするのね。


だから、どちらかというと畏れゆえの信仰の対象っていう感じなんだけど、『キングコング対ゴジラ』では守り神的な存在なのよ。島民を大ダコから守ったりもするし、あと、かわいげがある(笑)。


──オリジナルのハリウッド製『キング・コング』よりも、『キングコング対ゴジラ』のほうがベースになっている感じですよね。


福岡 なるほどね〜。あと「地球空洞説」も出てきたけど、あれゴジラやん!


世武 ねぇ(笑)。


小出 監督さん、本当に骨の髄まで日本文化が好きなんだろうね。絶対に友達になれるって思った(笑)。


TEXT BY 森 直人(映画評論家・ライター)


劇場を後にし、感想会となる喫茶店に向かう3人。小出部長が道中無口なときは、感想を話したくうずうずしているときなのである。


[後編](4月15日配信予定)につづく