アスリート食の考え方は共通。オリンピックの選手村の食堂でも基本に即した調理法やバランスで、ヨーロピアン、アメリカン、地中海、アジアなど世界のあらゆる地域の料理を用意する。

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公認スポーツ栄養士が解説、アスリート食の基本は「高タンパク、高炭水化物、低脂肪」

 世界のトップを走るアスリートたちは一体、何を食べているのか? 世界中のトップアスリートが一堂に会するオリンピック選手村の食事から見える「アスリート食の基本」を、Jリーグの横浜F・マリノスやラグビートップリーグのパナソニックワイルドナイツなどの栄養サポートを手がける、公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が解説する。

「トップアスリートは何を食べているのか?」

「外国人の選手が実践している食事法は効果的なのか?」

 スポーツの現場で、指導者や保護者からもこういった質問をよく受けます。

「強い選手は何を食べるべきか?」は誰もが知りたい情報ですが、実はアスリートの食事の基本は世界共通。国際オリンピック委員会(IOC)では、スポーツ栄養に関する合同声明のなかで、以下のように発表しています(2010)。

――エネルギーの必要量を満たし、野菜、果物、豆・豆製品、穀類、脂身の少ない肉、油分、炭水化物を中心としたバラエティに富む栄養価の高い食事であれば、ビタミンやミネラルを十分に補える。

 つまり、「高タンパク、高炭水化物、低脂肪でビタミンミネラルが豊富なバランスのよい食事」であり、これは日本でもアスリート食の基本といわれています。国によって違いがあるのは、食材やメニュー。例えば、日本ならば主食は米やうどんが中心ですが、国によってはパスタ、パン、じゃがいもなどに変わります。タンパク質も日本では肉や魚だけでなく大豆製品もよく食べられます。必要なエネルギー量(kcal)は種目や年齢、性別、トレーニングの時期によって異なりますが、「外国人が何を食べているか?」は問題ではないのです。

同じトレーニングでも食事の差で結果は変わる、大きな鍵握る栄養

 むしろ大事なのは「自分に合った食べ方」を身に着けること。アスリートは高いパフォーマンスを維持しながら体を強くするために、必要なエネルギー量を把握し、食事で摂取しなければいけません。調理法にこだわったり(例えば、肉や魚は網焼きや蒸し焼きにして余計な脂質を落とすなど)、いつ何をどのぐらい食べるべきかを考えられたりと、食べ方をコントロールできるか否かが重要です。近年では「穀物はなるべく精製されていないものを選ぶ」、「必要以上に塩分を摂らない」という考え方も欧米を中心に主流となっています。

 IOCの合同表明には、

――すべてのアスリートは、精神的・身体的能力を最大限発揮するため、練習や試合前・試合の合間・試合後の栄養の摂り方を身につけなければならない。

――栄養はアスリートの勝敗を大きく左右する重要な要素であり、能力を最大限に発揮するためには栄養の摂り方を身につけなければならない。

 とも記されています。同じトレーニングをしていても、食事の差で結果が変わる。栄養は、それだけ大きな鍵を握ると考えられているのです。

長島恭子●文 text by Kyoko Nagashima

 編集・ライター。サッカー専門誌、フリーランスを経て編集ユニット、Lush!を設立。インタビュー、健康・ダイエット・トレーニング・ヨガを軸に雑誌、WEBでの執筆や、ムック、単行本を企画・制作。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)など。