日本のクリエーターからも愛されまくり!ヴィルヌーヴ監督を囲む会

写真拡大

 映画『シン・ゴジラ』の樋口真嗣と、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でコンセプトアート&デザインを務めたアニメーターの前田真宏が14日、神谷町のソニー・ピクチャーズ試写室で行われた『メッセージ』スペシャル会見に出席、今秋に日本公開予定の『ブレードランナー』続編や、リブート版『砂の惑星』を撮ることも決まっている映画界の注目株ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督との対面に感激した様子を見せた。

 本年度アカデミー賞8部門にノミネートされた本作は、球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む女性言語学者の姿を見つめるSF感動作。実際に映画を観た樋口は、「SFって大きく分けると2つあって。われわれが中学生の時は、宇宙で戦う『スター・ウォーズ』タイプの映画と、宇宙人を探して見つける『未知との遭遇』タイプの映画があったんですけど、これは明らかに『未知との遭遇』の系譜にある映画。21世紀の新しい形で映画の文法をアップデートしている感じがすばらしいですね」とほれぼれ。前田も「一見、難しそうな映画に見えるかもしれませんが、実はハートにグッとくるすばらしい映画でしたね」と称賛してみせた。

 この日は、樋口と前田に加え、押井守監督(この日のイベントには不参加)を加えた3人によるコメントを収録した「スペシャルメッセージ動画」を上映。その映像内では、押井監督が「本物のSF映画で、完成度が高い。間違いなく10年経っても観られる映画だし、残すべき映画」とコメントしたのを筆頭に、3人のSF映像作家たちが興奮した様子で『メッセージ』についてコメントする熱い映像となっていた。

 その“メッセージ”動画を観たヴィルヌーヴ監督は「とても感動しました」と笑顔を見せると、「非常に心を動かされたのは、3人が映像の持っている強みが何なのかを分かってくれていたこと。それを自分とは違う国、文化の方が伝えてくれたことに感動しました。やはり映画作家にとって一番タフな観客は映像作家ですからね」と晴れやかな表情を浮かべる。

 樋口から「お金を出す人から何かを言われたりしなかった?」という質問を投げられたヴィルヌーヴ監督は、「この映画、配給はスタジオなんだけど、制作はインディーズのやり方をしているんだ。だから何かを言われることはなかったけど、唯一言われたのは、中国の基地の数を具体的に出さないでくれ、ということだけだった。正直、エイリアンの造詣がワイルドだったんで、それについて言われるのかと思っていたんだけどね」とクスクス。

 その後、エイリアンの見せ方について「そういうのって欲張って見せちゃえとなりがちなのに、ものすごく知的なものを感じました」という樋口の指摘に、「だって見えないものほど怖いものはないでしょ?」と返答したヴィルヌーヴ監督。さらに「モデルにしたのは映画『JAWS/ジョーズ』でした」と続けると、「ちょうど『JAWS/ジョーズ』も、映画が始まってから3分の2くらいになってようやく現れるけど、あの映画は怖いよね。そういう意味で、『メッセージ』というのは、とてもゆっくりと脱いでいくストリップのようなものだと考えてもいいかもしれない」と解説する。

 さらにエイリアンのデザインについても「僕らは日本のカリグラフィー(書道)や禅的なデザインに影響を受けた」と明かしたヴィルヌーヴ監督。「というのも、エイリアンに強い存在感、強い感覚を持たせたかったから。といっても、僕は禅に詳しいわけじゃないんで、日本人の前でこういうことを言うのは恥ずかしいんだけどね」と照れくさそうに付け加えた。

 そして帰り際、ヴィルヌーヴ監督の2015年作『ボーダーライン』のDVDを持参した樋口は、ヴィルヌーヴ監督にサインをおねだり。すっかりファンの顔となった樋口は、そのDVDを手にして大喜びだった。(取材・文:壬生智裕)

映画『メッセージ』は5月19日より全国公開