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■どんなクルマ?

JCWの名、クロスオーバーに使っていい?

チャールズとジョンのクーパー父子は、英国の自動車社会の歴史に大きな足跡を残した。F1で、モンテ・カルロ・ラリーで、そして20世紀の象徴的なクルマの製作で。コンストラクターとしても、チューナーやマニュファクチャラーとしても、偉大な功績は数多い。

そのすべては、軽量なレース・マシンの成功の上に築かれたものだ。ところが今日では、ミニマムではなくなったミニにまで、その名が用いられている。

いささか納得しかねるが、BMWはその手を止めず、1.5トンを超えるビッグなクロスオーバーにまでJCW仕様を投入してきた。

JCWが、ほかと違うところ

クラブマンJCW同様に、カントリーマンのそれもクーパーSの2.0ℓ直4をベースに、耐熱性を高めた新型ターボチャージャーと追加インタークーラーで性能向上が図られる。

エンジン・スペックは231ps/35.7kg-m、0-100km/h加速はクーパーS比0.8秒短縮の6.5秒をマーク。この加速性能には、標準装備された4WDシステムも貢献しているだろう。

当然ながら、このエンジン強化に合わせ、シャシーにも手が入れられる。

硬められたJCWスポーツ・サスペンションにはアダプティブ・ダンパーが組み合わされ、フラットなコーナリングを約束。

4ポットのブレンボ製ブレーキはフェードを減少させ、8段「ステップトロニック」ATはシフト・スピードが高められている。

■どんな感じ?

ゴーカート感は健在

年々、SUVやクロスオーバーの販売台数は増加し、ミニもそのご相伴にあずかるべく、そのブランド名の意味に固執しなくなった。

こちらも「ミニじゃない」などと、年寄りの小言みたいな不平をぶつけるのはやめよう。知りたいのは、競合モデルより魅力的な、JCWの称号にふさわしい走りを味わえるのか否かだ。

比較的背の高いクルマで、ハンドリングを極めるのは一筋縄ではいかない仕事だ。走り始めてすぐにわかったのは、サスペンションは並外れて硬く、ブレーキは神経質で、ステアリング・ラックはほんのわずかな入力でもシャープに鼻先の向きを変えさせるということだった。

いずれも、ミニ特有のゴーカート感を、この背が高いJCWでも実現することに寄与している。

結果として、長いホイールベースから想像するよりずっと小さいクルマに感じられるが、1530kgものウェイトだけは隠しきれるものではない。また、攻めてみても、シャシーは明らかに活気がない。

ハンドリング、加速は、はっきり不満

ミニでは、駆動力は必要に応じて後輪へ100%伝達できるというのだが、所詮は前輪駆動ベースだ。スロットルを残してコーナーに入ると、あっさりアンダーステアに陥り、少なくともドライ路面では、ニュートラルなハンドリングに近づけることはほぼできない。

もし、直線加速がすこぶる速いのであれば、ハンドリング関係の不満には目をつぶろう。しかし、どう頑張ってみても、エンジン出力から期待するシートに押しつけられるような加速は、残念ながら引き出せなかった。

低いギアでさえ、加速フィールはどこかもたつく印象だ。ハッチバックのクーパーSより200kgほど重いウエイトは、覚悟した以上に影響が大きいらしい。

このクルマは走行モードを中間セッティングに入れたまま、滑らかな8速ATがトルクの美味しいところを使ってゆったり走るのに任せているのがベストだ。そうして、グレード・アップしたインテリアをゆっくり鑑賞するのも悪くない。

サポートに優れたバケット・シートやスポーティなマルチ・ファンクション・ステアリング・ホイール、ドアや天井のアルカンターラなどはJCW仕様ならでは。

ダッシュボードやドアのトリムはマッチしているとは言い難いが、競合モデルよりずっと個性的なデザインだ。

■「買い」か?

クーパーSでもよいのでは?

これが商売的に成功することは疑いようがない。わかりやすいエクステリアと装備が充実したインテリア、そしてJCWバッジが示す剛勇ぶりだけで、多くのユーザーへのアピールは十分すぎるほどだろう。

とはいえ、JCWが目指したものの多くは、クーパーSでも手に入る。しかも、出費はより少なく抑えられる。

クーパーSは、キャラクター性ではJCWに一歩譲るが、「走る/止まる/曲がる」の性能などさまざまな面において、スポーティなクロスオーバーに求められる活発さのレベルは同等だ。

さらに無視できないのが、幅広い選択肢が用意されたホットハッチ市場である。実用性でカントリーマンJCWに遜色ないものが少なくないうえ、それらの方がドライビングは、はるかに魅力的なのだから。

ミニ・カントリーマン・ジョン・クーパー・ワークス・オートマティック

■価格 £32,275(441万円) 
■全長×全幅×全高 4133×1789×1532mm 
■最高速度 233km/h 
■0-100km/h加速 6.5秒 
■燃費 13.5km/ℓ 
■CO2排出量 169g/km 
■乾燥重量 1530kg 
■エンジン 直列4気筒1998ccターボ・ガソリン 
■最高出力 231ps/5000-6000rpm 
■最大トルク 35.7kg-m/1450-4500rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック