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英国人から見た、今までと違うロンドンのテロ

【PJ 2005年07月21日】− 何十万の英国人のように、私自身、一体何度同じことを目の当たりにしてきただろう。地下鉄の駅を取り囲む何台ものパトカーや救急車、血だらけのシャツに虚ろな表情の通勤客、砕け散ったガラスと引き裂かれた金属。私は、今回初めて、母国英国で起きたテロを海外(東京の自宅)からインターネットの緊急ニュースを通じて知らされた。

 私は、30年前、北アイルランド紛争が始まって間もない頃に生まれた。子供の頃、テロリズムといえば、永久に終わらない、遠いが確実な脅威だった。一度、爆発物が仕掛けられたという疑いで、全校生徒が校庭に避難したことを覚えている。また、英国には在校生で組織する軍隊を持つ学校も多く、私が通った学校でも、一時、テロリストらが彼らの制服姿を、本物の兵士と間違う危険があるため、校外での着用が禁止になった。IRAの爆破行為が続く間、街中のゴミ箱が撤去され、コインロッカーも永久に閉じられた。

 大学に入る頃には、テロリズムと隣り合わせの生活が、英国人として生きることと同義になっていた。そして、爆破行為を始めた時と同じく、突如、IRAが初の武装解除を宣言し、テロは終息に向かった。それでも、まだテロ攻撃やいくつもの障害が残っていたが、10年が経ち、アイルランド国家主義者と政府支持の政治家の多くが、爆弾の代わりに言葉で戦っている。

 先日のテロの後、ロンドンの人々の中には、IRAのテロに対して懐旧の念に近いものを抱いた人もいただろう。IRAの残虐行為もとてつもない脅威だったが、アルカイダの脅威とは比べ物にならない。この、予告なしのロンドン地下鉄とバスの爆破は、英国において最も多くの人々を殺したテロ攻撃だ。9.11の攻撃による犠牲者数は、30年間に及んだ北アイルランド紛争全体の犠牲者数に匹敵する。

 ロンドンのテロは、「起きるかどうか」ではなく「いつ起きるか」だと言われ続けてきたが、その意識があっても、今回のショックを和らげることは出来なかった。英国は、この手のテロには慣れていなかったのだ。外国の攻撃ではない。テロリストらは、英国で生まれ、英国で育った。
 
 今、宗教に関係なく英国人は皆、自らに痛烈な問いを投げかけるべきだ。英米のイラク侵攻がこのテロを助長したのか。英国イスラム教徒たちは、自らの子供が過激派に洗脳されるのを食い止める十分な努力をしてきたか。私たちは、移民社会の融合に知恵を尽くしてきたか。
 
 1995年に東京で起きた地下鉄サリン事件を経験した国の人々には、理解できるのかもしれない。4人のテロリストらは英国で育ち、英国の学校に通い、英国人の友人がいた。4人のうち、1人には小さな子供と地元の小学校で働く妻がいた。東京の地下鉄にサリン入りのビニール袋を持ち込んだ男たちのように、彼らもまたリュックサックに爆薬を詰め込んで「殺す」という目的のためだけに地下鉄に乗り込んだのである。宗教や政治だけで説明できるのか。

 彼らは、自分たちが攻撃しているのは英国だと信じていたのだろうが、政治家や兵士を狙わなかったばかりか、英国人すら狙ってはいない。ロンドン市長、ケン・リヴィングストンはこの攻撃を「ロンドンで働く普通の人々、黒人、白人、ムスリム、キリスト教徒、ヒンズー教徒、ユダヤ教徒、若者、老人を狙ったものだ」と断言した。

 何が、4人の若者に罪のない52人を道連れに自爆することを決意させたのか。私たちの社会は、一体何を間違ったのだろう。私たちは、何を間違ったのか。この問いに、私たちは全員で答えていかなくてはならない。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 【 】
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