米中首脳会談で中国の習近平国家主席が米国のシリア攻撃に「理解」を示したことが臆測を呼んでいる。シリア攻撃は核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への「警告」のメッセージでもあるからだ。

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米中首脳会談で中国の習近平国家主席が米国のシリア攻撃に「理解」を示したことが臆測を呼んでいる。中国首脳が他国への軍事力行使を容認する発言をしたのは極めて異例。その上、シリア攻撃には核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への「警告」のメッセージが含まれているからだ

習主席の「理解」は首脳会談後の7日、ティラーソン米国務長官が記者会見で明らかにした。欧米メディアなどによると、米国のトランプ大統領は6日夜に行われた夕食会の終盤で習氏に対し、シリアへの攻撃を実施したことを伝達。アサド政権が化学兵器で女性や子どもを殺害したことへの対抗措置であるとの理由を説明し、発射した巡航ミサイルの数も伝えた。

ティラーソン長官は習主席の対応について、情報提供に謝意を表明したと言明。「中国の公式見解ではない」と断った上で、習氏が「子どもたちが殺された時には、こうした反撃の必要性があると理解を示した」と紹介した。ティラーソン長官の発言について、中国側が異議を唱えた形跡はない。

首脳会談が行われる場合は、事前に当事国同士で議題などを調整する。シリア攻撃は議題として予定されていたはずもない。しかも習主席が伝えられたのは夕食会の席上。トランプ大統領の“奇襲” だった。中国専門家は全く想定外の事態に習主席がとっさに反応できなかたのではないか、ともみている。

攻撃を受けて開催された国連安全保障理事会の緊急会合で、シリアの後ろ盾のロシアは「シリアが化学兵器を使用した証拠がないまま行った主権国家への侵略行為。シリアで遂行するテロとの戦いを困難にするものだ」と米国を非難。これに対し、中国の国連大使は「シリア問題には政治的な解決以外に道はない。軍事的手段は内戦に苦しむシリアの人々の状況をさらに悪化させるだけだ」と述べ、安保理が中心となり、政治的な解決を目指すよう各国に求めただけ。ミサイル攻撃は「超法規的措置」にもかかわらず、米国批判を避けた。中国外交部の報道官も「事態のさらなる悪化を防ぎ、得難い政治解決のプロセスを守っていくことが急務だ」と述べるにとどまった。

米英仏は安保理にシリアの化学兵器使用を非難し、同国政府に調査への協力を求める決議案を提出。12日に採決が行われたが、ロシアが拒否権を行使して廃案となった。シリア問題でロシアが拒否権を行使したのは11年以降8回目。中国はロシアに同調して拒否権を6回行使していたが、今回は棄権に回った。

米中首脳会談でも大きな焦点になった北朝鮮問題について、トランプ大統領は11日、ツイッターに「中国が助けてくれれば素晴らしいが、そうでなければ我々が解決する」と書き込み、改めて中国に圧力を掛けた。遠い中東のシリアと国境を接する北朝鮮では中国の利害が全く異なるが、朝鮮半島周辺に軍事力を集結させている米国が北朝鮮に対し先制攻撃に踏み切った場合でも、習主席は「理解」を示すのだろうか。(編集/日向)