(写真提供=SPORTS KOREA)

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北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)が、所属選手の平昌(ピョンチャン)五輪不参加を表明した。

もともとその話はあったし、1月中にも結論が出るとの話だったのが4月まで延びたということは、それなりにやり取りはあったのだろうが、結論は変わらなかった。

選手会はこの決定に不満を示し、強行出場の意向を持っている選手もいるようだが、契約の問題もあり、そう簡単ではないだろう。

辛うじて命脈が保たれている実情

NHLの選手は1998年の長野五輪以降、続けて参加していたが、今回は、選手の旅費や保険料の支払い問題で折り合いがつかなかったうえ、韓国はNHLの市場拡大戦略の対象外であったことも大きいようだ。

実際、韓国でアイスホッケーはそれほど盛んでない。

今回、韓国男子のアイスホッケーチームには6人の帰化選手がいるが、これはそうしないと、平昌五輪に出場できなかったからだ。
(参考記事:平昌五輪のために外国人の特別帰化を続々と許可せざるを得ない韓国の実情)

国内の選手は、私学の両雄である延世(ヨンセ)大学と高麗(コリョ)大学の定期戦種目の中に、アイスホッケーが含まれているため、辛うじて命脈が保たれているのが実情だ。

1996年にチャン・ドンゴン主演の『アイシング』というアイスホッケーのドラマが放送され、話題になった。

しかし、同じチャン・ドンゴンが主演したバスケットボールのドラマ『最後の勝負(邦題『ファイナル・ジャンプ』)』が、社会現象にまでなり、空前のバスケットボールブームを起こしたのに比べると、影は薄い。

NHL選手の参加を前提にしたアリーナだが

そういう状況だから、NHLの選手が参加しないからといって、韓国人がそれほど残念がっている様子はない。

ただし、外国人の観客の入場を期待しているだけに、影響は大きい。

そもそも、NHLの選手が出場しないのであれば、1万人もの観客を収容する施設は必要だったのかという問題がある。

それでなくても、人口約22万人の江陵(カンルン)市に、アイスホッケー場2個、フィギュアスケート・ショートトラック、スピードスケート、カーリングの各1個の、計5個のスケート場を作ること自体、過剰投資であり、負担であった。

加えて、アイスホッケーのメイン会場は、NHLの選手の参加を前提に、競技場のキャパを大きくしている。

平昌五輪に限った問題ではない。今日の五輪は、トップ選手の参加を前提に、施設の設置条件が厳しくなり、それが開催国の負担になっている。

五輪はそろそろ、トップ選手が集まる最高峰の大会という位置づけにこだわるべきではないと思う。五輪以外に、注目を集める大会があるという競技は、無理に五輪に出る必要はないと思う。実際ワールドカップを最高峰の大会としているサッカーは、23歳以下になっている。

NHLについては詳しくないので、下部リーグや、他のリーグとのレベルの差がどれほどあるか、よくわからない。

「五輪を最高だと思う選手が集まる大会」に

ただ野球についていえば、確かにメジャーリーグが、最高峰のリーグであることは間違いない。アメリカがようやく本気になってきた今回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、確かに面白かった。

しかし、U18の大会を何度か取材したことがあるが、スカウトの目に留まろうと、目をギラギラさせて必死に戦っている選手たちもまた、知名度は低くても、魅力的である。

今回のNHLの選手の不参加を契機に、五輪を最高レベル選手が集まる大会から、五輪を最高だと思う選手が集まる大会に変えていくべきではないか。

そして、開催国の該当競技に対する実情を無視し、不釣り合いに立派な施設の建設も、是正すべきだと思う。

今回のNHLの選手の不参加問題は、五輪を身の丈に合った大会にする契機にするべきだ。

(文=大島 裕史)