見える世界がすべてじゃない。「オルセーのナビ派展」で預言者たちの声を聞く

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ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、モーリス・ドニ......19世紀末、自らを「ナビ派(ヘブライ語で『預言者』の意味)」と呼んだ画家たちがいました。
ポール・ゴーガンの影響を受け、パリを中心に活躍した彼らは、秩序だった色彩を使い、目に見えない内面性に加え、身近な人々の姿を多く描きました。こうした「神秘性」と「日常」を内包した作品は、20世紀を予兆したともいわれています。
ナビ派が本格的に紹介されるのは日本初
そんなナビ派を多く所蔵するオルセー美術館自慢のコレクションが一堂に会する、『オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき』が、2017年5月21日(日)まで東京・丸の内の三菱一号館美術館にて開催中です。
ピエール・ボナール『庭の女性たち 白い水玉模様の服を着た女性』(1890-91年)デトランプ/カンヴァスに貼り付けた紙、装飾パネル © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
本展では、オルセー美術館が誇るナビ派コレクションの中から、油彩約70点、素描約10点などを合わせたおよそ80点が出品されています。総監修は、世界でもナビ派研究を牽引するオルセー美術館・オランジュリー美術館総裁を務めるギ・コジュヴァル氏。これほどの規模で、本格的にナビ派が日本で紹介されるのは、実は初めてだそう。
ピエール・ボナール『庭の女性たち 猫と座る女性』(1890-91年)デトランプ/カンヴァスに貼り付けた紙、装飾パネル © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
ナビ派の画家たちが描いた作品は、キャンバス面は奥行きを排除しているため平坦ながらも、絵画そのものが訴えかけてくるメッセージは深遠な印象を受けます。
印象派との明確な違い
そして、今回の展示は6つのテーマに沿ってナビ派の全体像がわかるしくみになっていますが、特に注目したいのは、最後の「第六章 裏側の世界」のコーナーです。「裏側」、つまり目に見えるものの裏側にある「目に見えない世界」をナビ派は好みました。
ピエール・ボナール『庭の女性たち ショルダー・ケープを着た女性』(1890-91年)デトランプ/カンヴァスに貼り付けた紙、装飾パネル © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
宗教や精神性などに代表される「裏側の世界」は、光の動きをキャンバス上で忠実に表現することに重点をおいた印象派が忘れたものとされています。そういう意味で、現実的ともいえる印象派とは対照的に、神秘的なものを描いたナビ派の挑戦は革新的だったと称されるのでしょう。
ポール・ランソン『水浴』(1906年頃) 油彩/カンヴァス © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF /
彼らは、どことなくキュートなインパクトのある『水浴』を描いたポール・ランソンのアトリエに集まって、秘教的な本を読み、解読し合ったといいます。おそらくその話し合いは「預言」めいたものだったに違いありません。19世紀末の画家たちが想像した、20世紀アートの予兆「ささやきとざわめき」を聞きに、お出かけしてみてはいかがですか?

[オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき]会期:2017年2月4日(土)〜5月21日(日)場所:三菱一号館美術館〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2時間:10:00〜18:00 ※祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜休館※2017年5月1日、15日は開館