バルセロナの下部組織出身でFC東京のU-20日本代表FW久保建英【写真:Getty Images】

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競泳・池江、サッカー・長友ら代表選手の専属トレーナー木場克己氏に聞く

 2020年の東京オリンピックが迫る中、子供たちのスポーツ熱もこれまで以上に高まりを見せている。次代の日本のスポーツ界を支える幼稚園世代の子供にとって、健康な育成に、そして、将来のトップアスリートに成長するために、どのようなトレーニングが必要なのだろうか?

「最近は転びやすい子供が増えています。そして、体をうまく使えていない子供もいます。幼稚園年代で一番大事なところはバランス力にあります。そして、効果的な体を使えるようになること。今日は遊びながら柔らかいマットで、まずは転ばない体を作る。トレーニングで集中力を高めて、脳から神経、筋肉への信号の発信も促進するイメージです。インナーマッスルを反応させるメニューから始めました。みんな子供たちは楽しそうで嬉しかったです」

 こう語ったのはプロトレーナーの木場克己氏。体幹・体軸・バランスを強化する「Koba式体幹・バランストレーニング」の開発者で、競泳女子のリオデジャネイロ五輪代表の池江璃花子(ルネサンス亀戸)、サッカーの日本代表DF長友佑都(インテル)らトップアスリートの専属トレーナーを務め、JP日本郵政女子陸上部のアドバイザーとして1年間指導し、創部3年目にしてクイーンズ駅伝優勝に導いた木場氏は先日、東京・世田谷区の池田幼稚園で年中・年長の児童約70人に体幹教室を開いた。

 1クラス35分間に区切られた幼稚園生向けの「Kobaトレ」は、不安定に揺れる特製のファンクショナルマットを敷き詰めて行われた。ハイハイ、そして、四つん這いという幼児期独特の動きからトレーニングはスタートする。

不安定な土台の上で鍛えるバランス力「転ばないという習慣化に」

「この年代の子供たちは、体のバランスを鍛えることが重要になります。バランス力を高め、効果的な体の使い方を教えるためには体の重心や軸がブレないようにすることです。あえて不安定なファンクショナルマットな上で動作させることで、わざと身体がグラつく状況を作る。それが脳の活性化につながる。

 不安定な土台の上でまっすぐに立つようにする。もしくはハイハイや四つん這いでマットから落ちないようにする。意識するだけで、体の使い方が修正されていきます。それが転ばないという習慣化につながります。そして、脳からの神経伝達の信号が早く体に伝わるようになります」

 日本を背負うトップアスリートのみならず、バルセロナの下部組織出身でFC東京のU-20日本代表FW久保建英、レアル・マドリードの下部組織インファンティールAで活躍する中井卓大君というサッカー界の新星の専属トレーナーでもある木場氏は、かつてJ1サンフレッチェ広島、ガンバ大阪の育成年代のコンディショニングアドバイザーを務めた経緯もある。

 子供のコンディショニングや成長を阻害しないトレーニングにも独特のメソッドを持っている。

「四つん這いの動きは基本的に体幹を鍛えるトレーニングです。そこから、膝を付いた四つん這いに移行しましたが、膝と手の連動性のチェックです。四つん這いでも速く前進できる子はそれだけ体をうまく使えているということになります。膝を立てた状態での四つん這いは体の筋力の部分、安定性を高める狙いです。教室の序盤でこのメニューを入れたことで、園児のみなさんがどの程度の体のバランスなのかをチェックする狙いもありました」

木場氏が考えるトップアスリートを目指すための第一歩とは?

 四つん這いでの運動の後には、マット上でのジャンプなど遊戯性を高めたメニューに映った。

「マットの上でジャンプして、着地時に決められたラインの上でしっかりとストップする。これは反応、連動、バランスの強化です。頭からかかとまで体の軸を一本しっかりと作ることができれば、平均台の上でも体はぶれません。サッカーなどの球技でもインナーマッスルがしっかりするようになるので、それだけ高いパフォーマンスを見せることができます」

 木場氏はこう説明している。将来のトップアスリートを目指すための第一歩に、幼稚園生は何を目指せばいいのだろうか。

「まずは転倒しない体になる。そして、体の使い方がスムーズになる。スポーツをやっている子供たちはパフォーマンスアップを目指す。幼稚園の年中、年長年代では身体の使い方で弱い部分を見つけてあげたいですね」

 子供達が健康な成長を遂げ、久保選手や中井君のような天才少年、そして、未来のトップアスリートを目指す上で、体のバランス強化こそが、幼児期の発育における重要な一歩になるのかもしれない。