昨年社会現象的ヒットをした『逃げ恥』ことドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と、今年アラサー女子を恐怖のどん底に陥れた『タラレバ』ことドラマ『東京タラレバ娘』。どっちも刺さってしまったあたしは、アラフィフのオジサンオバサンなんですが…(ただの恥)。きっとこれを読んでいるみんなも、この2作がオンエア中は日ごろの話題にしていたはず。じゃー、これらの何が刺さるのか、と申しますと、結局のところ「今を生きるだけじゃ、世間一般的な幸せはつかめない」ということ。ココで言う「世間一般的な幸せ」ってのが、「結婚」とか「恋人とラブラブ」っていう短絡的な意味しかないのはいただけないんですけどね(でも刺さったあたしはダメおかま)。

「逃げ恥」は、そこそこ楽しく生きてるけど、一人前になりたいっていう2人が、共に方向性は違うものの互いの目的が合うからって契約結婚という現実逃避をしたお話。「タラレバ」は、これまたそこそこ楽しく生きた20代を過ぎ、アラサーとなって初めて気づく「フツーの幸せ」ってなんぞや、ということを追求し始めたがばかりに、地獄の負のスパイラルに陥るというお話。ほれ、どっちもライトなラブコメと思って観てたら、意外と深イイお話になってるでしょ?

前振り長くなりましたが、今回言いたいのは『T2』こと『T2 トレインスポッティング』のお話なの。なぜに『逃げ恥』と『タラレバ』を引き合いに出したかというと、流行ったモンに乗っかろうという魂胆ではありませぬ。これがマジで、"逃げ恥"と"タラレバ"な女子こそ、今のうちに観ておけという、教訓映画になっているからなのですよ。

そもそも『トレインスポッティング』ってなんぞや?という方。細かい説明はググってね。ザックリ言うと、スコットランドのドラッグ中毒の若者が大暴走して「楽して稼ごうぜ」ってお話。クライムドラマなんだけど、青春グラフィティでもあるこの作品は、公開当時の若者(もれなくあたしも入る)に超絶「カッケー!」って受け入れられて、超絶大ヒットを記録したの。ビジュアルから音楽などカルチャー面まで大影響を与えた傑作なのよ〜。ほれ、Underworldって今じゃクラブミュージックの大御所じゃん。彼らの楽曲がお茶の間レベルになったのもこの映画のサントラがきっかけなのね。

あ、ドラッグは流行りませんでしたよ。なんせ、あたしら世代って薬物依存が一時流行した80年代を通過しておりまして、こんなコワイCM見て育ってるもんで。

で、『T2』は満を持してのオリジナルキャストによる続編。それも、実際の経年通りの設定で、20年後の彼らを描いているの。人間、若い頃にヤンチャしても20年経てば丸くなるって思うじゃない。それがそうでもないっていう現実をつきつけられる、観る人が観るとまさかの"タラレバ"超えな恐怖映画でもあったりして。そうなんです。前作のクズ男達は、20年経ってもやっぱりクズでした。チャンチャン。というお話なのでした。

なぜこれが教訓映画かを教えますね。『タラレバ』では「10年楽しんじゃって、焦りまくり」、『逃げ恥』では「なんとなく幸せになりた〜い」というテーマが貫かれているわけですが、そんなもんはまだ甘いということを『T2』で教わることになるんです。10代は勢いで生きても、ヤンチャしても全然OKだと思うのです。がしかし、20代も半ば以降になりますと、どんな人でも人格は固まってくるし、自分というものが何者かということが徐々にわかり始めてくるのですね。イコール、ここからの劇的な人格的成長は見込めない、ということです。それが30代ならもっと見込みないし、40代なんてもうガッチガチ。それ以降は惰性とでもいいましょうか。なので、『T2』の主人公達は、20年経ってもクズライフを謳歌しているのですわ。

ところが、ここで重要なのが、過去にしでかしたことへのケジメをつけるかつけないか、ということ。"T2"最大のテーマはそこにあります。なにか若い頃にしたことでのわだかまりがあった場合、それを解決、もしくは卒業していないと、微々たる一歩も踏み出せないまま20年も経っちゃうよ〜、マジで。っていうことを、オリジナルキャストのオヤジたちが熱演してくれるわけ。ちなみに彼らの人生のゴールは、世間一般で言う幸せ=結婚やら家庭を築く、ではなくて、「悔いのない人生を歩む」ということなんです。

『逃げ恥』や『タラレバ』で「ヤッバイよね〜。あたしら、早く結婚しなきゃ〜」って思ったそこのあなた。大事なのは結婚とかじゃねーのよ。どれだけ毎日を充実して生きるか、そして悔いを残さないで生きられるか、なのよ。そこに結婚や家庭を築くってのがあってもいいんだけど、それって1人じゃできないことだからもっと難易度あがるわけ。

大事なことなので重ね重ね言いますが、アラフィフになっても『逃げ恥』や『タラレバ』って刺さるのよ…(若い皆様とは別のツボで)。「幸せになりた〜い」って漠然としたイメージで生き抜いてきたものの、とどのつまり、「幸せ」ってなんじゃらほい?ってつまづくのはアラフィフ以降ですもの。ええ、アラフォーまでは勢いで乗り切れるんですよ。いいですか、ここ大事。アラサーを前に恐れおののいているそこのあなた。そんな恐怖はまだまだ甘い。社会的責任をいやがおうにも背負うことになるアラフォーあたりからは、勢いだけじゃサーフィンできないのが人生というもんです。楽しければそれでよし、といってられるのも今のうち。ひぃぃぃ…恐怖。でもね、逆に、若い今のうちに楽しんでおけ、という言い方もできますのよ。だからこそ、『トレスポ』と『T2』を観て、将来像をイメージして欲しいのでした。

T2 トレインスポッティング

監督:ダニー・ボイル/出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/公開:現在、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー中