カリフォルニア州ロングビーチでインディカーシリーズ第2戦が終わった後、アッと驚くニュースが配信された。これまでF1のワールド・チャンピオンに2度輝き、今年もマクラーレン・ホンダからF1に参戦しているフェルナンド・アロンソが、今年のインディ500に電撃参戦するというのだ。それもF1グランプリシリーズの花形レースであるモナコGPを休んで! 


インディ500に参戦することになったフェルナンド・アロンソ これはマクラーレンとホンダがアロンソ本人の意向を汲み、全面的に協力して初めて実現するプロジェクトだ。実際、今年から佐藤琢磨を走らせているアンドレッティ・オートスポートとマクラーレンがジョイントしたチームが作られるのだという。

 アロンソは次のようにコメントしている。

「インディ500はル・マン24時間とF1モナコGPに並んで世界中で有名なレースだ。これまでにインディカーをドライブしたことも、スーパースピードウェイでレースをしたこともない。しかし、すぐに順応できるだろう。インディカーレースはテレビやインターネットでよく見ているが、350キロを超えるハイスピードでの接近戦になるので、ドライビングに高い正確性が求められることは間違いない。かなり短い期間でマシンに慣れる必要もある。

 スペインGP終了後すぐに渡米し、マクラーレン・ホンダ・アンドレッティのマシンで、できるだけ多くの周回を重ね、マシンを自分のものにしていきたい。また、とても優秀なアンドレッティ・オートスポーツのクルーと一緒に仕事ができることをとてもうれしく思う。彼らが持つ知識と経験から多くを吸収したい」

 おそらくF1側のエンジニアリング・スタッフもサポートに入ることになるであろうアロンソの戦いは、今から楽しみだ。

 若いモータースポーツファンには古すぎる話になってしまうが、実はマクラーレンは1970年代にはインディカーでも戦っていた。もともと1960年代に北米で行なわれていたスポーツカーレースのカンナムシリーズで活躍し、70年代にはインディカーのマシンも作るようになった。

 72年にはマーク・ダナヒュー(チーム・ペンスキー)がマクラーレン・シャシーで初めてインディ500に優勝。マクラーレン本家のチームも79年まで参戦を続け、74年と76年にジョニー・ラザフォードのドライビングでインディ500優勝を飾っている。今年のアロンソは、その時代と同じく、マクラーレンのシンボルカラーであるオレンジにペイントされたインディカーで走るという。

 アンドレッティ・オートスポートのオーナー、マイケル・アンドレッティは、かつてF1に参戦していたことがあるが、そのときのチームもマクラーレンだった(1993年)。彼は今回のプロジェクトについて次のように語っている。

「マクラーレン・ホンダとパートナーを組み、フェルナンドを我々のチームの一員として迎えることができることは大変光栄だ。すばらしい5月を迎えるための準備は整っている。インディ500で勝利するという、フェルナンドのキャリアの中で最も大きな目標のひとつを叶えられる舞台を用意する。

 フェルナンドはスーパースピードウェイを走ったことがないが、それについてはまったく心配していない。インディ500は練習走行に費やせる時間が十分にあるので、ルーキーがデビューするのにふさわしい舞台だといえる。それは我々が昨年、証明している。我々はルーキーとともに勝利したのだ(昨年はアレクサンダー・ロッシが優勝)」

 やや心配なのは、アンドレッティ・オートスポート陣営が6台もの大所帯になること。レギュラーシーズンを戦うライアン・ハンター-レイ、マルコ・アンドレッティ、ロッシ、佐藤琢磨に加え、今年のインディ500にはイギリス人のジャック・ハービーをスポット参戦させることが決まっていた。そこに、さらにアロンソも加わるのだ。

 マイケル・アンドレッティは、「6台が協力してセットアップを詰めていく。そうすることで我々はさらに競争力を高め、抜きん出た存在になれるだろう」とプラス効果を強調するが、アロンソは”超大物”だけに、チーム内のパワーバランスが崩れるとチームメイトの佐藤琢磨にも影響が出かねない。

 とはいえ、F1とは違って今季のインディカーシリーズでホンダは開幕から好調を維持しているうえ、もともとスーパースピードウェイでのレースはホンダ陣営が優位にある。誰もが想像だにしていなかった、まさかのアロンソ参戦で、5月28日のインディアナポリス・モーター・スピードウェイは世界中の注目を集めることになりそうだ。

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