柳樂光隆さん監修「Jazz The New Chapter4」

 ジャズ評論家の柳樂光隆さんが、現在のジャズシーンについて「打ち込んだビートをPCから出すのではなく、生演奏の方が新しいし刺激的」と持論を述べた。

 1日、東京・御茶ノ水Naruでおこなれたイベント『ネオホットクラブ13‐JTNC4解説パーティ』で語ったもの。サックス奏者の小池直也さんが主催するイベント。ゲストとともにジャズにまつわるトークセッションをおこなう企画で、今年度は年4回の開催が予定されている。

 13回目の開催となった今回は、柳樂さんが監修するムック本『Jazz The New Chapter』(JTNC)の第4弾『Jazz The New Chapter4』の刊行を記念しておこなわれた。『JTNC』は、21世紀の海外におけるジャズの紹介に的を絞って制作されており、従来のジャズ雑誌とは一線を画す内容が話題となっている。

 この日、柳樂さんは「ジャズが今、一番新しいと単純に思ったんです」と、『JTNC』シリーズを作る動機を明かしてから、「2011年くらいは音楽シーン自体が世界的に飽和状態。プロトゥールス(レコーディング・音楽編集ソフト)以降、新鮮なものが出てこなかった気がします。生演奏でジャズをやっている人たちの方が面白くて、だから新しい音楽としてジャズを紹介したいと思ったんです」と述べた。

 さらに「コモン(米ラッパー)や、R&B・ヒップホップの人たちが、ジャズミュージシャンを起用してバンドを作っていました。打ち込んだビートをPCから出すのではなく、生演奏でやるようになって。そこにジャズミュージシャンが沢山入る様になりました。彼らも打ち込みより、生演奏の方が新しいし、刺激的だと思ってやっているんだろうな、というのがわかったんです」と続けた。

 『JTNC4』では、ジャズ以外にもヒップホップ、R&B、ゴスペルなどのブラックミュージックについても特集されている。「ジャズの本を作りたい。でも今のアメリカのジャズメンに話を聞いたり、調べてみたりすると、ジャズがその周りの音楽に影響を受けている事が分かりました」としてから、「逆にその周りの音楽もジャズに影響を受けている。だからそんなに、ばっさり分けられるものじゃないなと。だからアメリカの文化自体が色んなものが混ざり合ってできたもの、というのが答えではないでしょうか」と解説した。

 アメリカの文化はそれぞれを持ち上げ合っている(フックアップしている)という話題にもなり、「その点、宇多田ヒカルさんは偉いと思います。色々な人を客演で起用して『マジで!』となっています。影響力のある人がそういう事をやるのは大事です。宇多田ヒカルさんは意識が高いと思います」と述べた。

 最後に今後の展望について、柳樂さんは「書き手と編集者を育てたいので『JTNC』を10年続けたい」とコメントした。