マリノス戦では輝きを放てなかった俊輔。2列目右サイドで先発したけど、やはり彼はトップ下で起用するべきだと思う。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ6節]横浜2-1磐田/4月8日/日産ス
 
 中村俊輔が古巣と日産スタジアムで対戦するだけに、マリノス対ジュビロは多くの注目を集めた一戦だった。
 
 僕も俊輔がどんなプレーを見せるか楽しみにしていた。ただ、彼がファーストタッチするまでに約10分もかかったのには、フラストレーションを覚えたね。
 
 俊輔はこの日、4-2-3-1の2列目右サイドで起用されていた。もちろん、名波監督には狙いがあってのことだと思うけど、個人的には賛成できない采配だ。少なくとも、マリノス戦では右サイドで使うべきではなかったと思う。
 
 俊輔と対峙したのは、齋藤学だった。周知のとおり、彼の突破力は国内トップレベルだ。そんな選手を俊輔に密着マークさせるようなことはなかったけど、齋藤とSBが1対1の状況になれば、そこで抜かれる可能性は低くない。それなら、サイドハーフが戻ってきて、2対1の状況を作るのが定石だけど、プレスバックさせる選手が俊輔では、あまりにももったいない。
 
 現代サッカーでは、攻撃の選手にも高いレベルの守備が求められるようになったとはいえ、本当に巧い選手は、やっぱり攻撃に専念させるべきだというのが僕の持論でもある。
 
 巧い選手は、ボールに触れるだけ触るべき。彼らは簡単には奪われない。当たり前の話だけど、マイボールにしていれば、攻められない。結果、失点のリスクはゼロになる。
 
 ボールを奪うだけが守備じゃない。“ボールを取られない”ことも立派な守備なんだ。
 
 俊輔には、精力的なプレスバックをこなせるだけの運動量がある。事実、マリノス戦ではチーム2位の総走行距離を記録しているからね。でも、彼は走ってナンボの選手じゃない。繰り返すけど、ボールに触ってどれだけ違いを生み出せるかが、俊輔の真骨頂だ。
 
 そんな選手が、ファーストタッチに約10分もかかるなんて、正常な状態じゃない。マリノスに押され気味だったとはいえ、大きな問題だった。
 
 それは右サイドで起用されていたことと無関係ではないと思う。やはり、俊輔の居場所はトップ下。攻撃の全権を握るこのポジションでこそ、彼の本領を最大限に引き出せると思う。

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 トップ下に置いて、守備のタスクをできるだけ軽減させ、好きなようにプレーさせる。それが俊輔起用の最適解だと考えるけど、右サイドで使うことに100パーセント、ノーと言うつもりもない。
 
 ただし、それは条件付き。ジュビロがそれなりにポゼッションできれば、その分、俊輔を高い位置まで押し上げられて、そこでフリーでもらえたり、相手のバイタルエリアで勝負するシチュエーションが増えるはず。
 
 中盤を菱形にした4-4-2も興味深い。当然、俊輔は菱形の頂点だけど、前にFWがふたりいれば、パスの選択肢が増えて、フィニッシュワークがより多彩になると思う。
 
 いずれにしても、システムにせよ、周囲とのコンビネーションにせよ、少しでも早く、俊輔の特別な才能が惜しみなく発揮できる環境が整うことを願っているよ。