組織の課題に目を向ける企業は少ない

 ストレスチェック制度施行の初年度は、個人のストレス度合いについて検証する、ということに終始したきらいがある。

 言うまでもなく、ストレスチェックについては個人のメンタル面の課題と同時に、働く人のメンタルを左右する組織の課題を浮き彫りにし、それに対処することが求められる。少なくとも、それが制度を施行した国の考えである。

 しかしながら、連載第1回で述べたように、実施企業の多くが、組織の課題には目を向けていない。これでは、せっかくコストをかけて実施したストレスチェックが、十分に生かされないことになる。

 今回は、ストレスチェックの結果を、組織の課題解決につなげようとする企業の事例を紹介したい。

集団分析の結果をもとに5人の部長が議論する

 これは私が産業医をしている、IT系企業の事例だ。仮にA社としよう。A社は社員数約400名で、部署は16部門に分かれている。

 ストレスチェックを実施した後、A社では16の部単位で集団分析を行った。その結果を各部にフィードバックして、部長を集めて「自分の部の結果について、どう思う?」という問いかけをした。

 各部からは、ストレスチェックのスコアをふまえて、「うちの部署は、そもそも人が足りない」とか、「私の部署では、コミュ二ケーション不足だと思う」など、さまざまな意見が出た。

 さらにA社は、各部の部長5人を一組として、集団分析の結果を踏まえて、「自分の部署の結果を、どう見るか」、「来年は、組織と仕事のあり方をどう変えるか」という観点から、ディスカッションを実施した。

 そこでは、さまざまな意見が飛びかった。

「お前の部は、なんでこんなにスコアがいいの?」、「けっこう、うまくいってるように見えたけれど、意外に職場のストレス要因が高いんだね」などなど、いろいろな発見や指摘があった。

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