軍事費は国際安全保障情勢、特に軍事安全保障情勢の風向計だ。資料写真。

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軍事費は国際安全保障情勢、特に軍事安全保障情勢の風向計だ。近年、世界の主要国は次々と国防費を大幅に増やし、武器の発展と軍事力の強化を加速している。世界の軍事費の明らかな増加傾向を人々は注視し、憂慮している。人民日報が伝えた。

■主要な大国と中東、アジア太平洋が軍事費増加の中心

大国で軍事費の伸びが速いのは米国、ロシア、インドだ。

米国の軍事費は長年世界最大で、その総額は米国に次ぐ上位10カ国の合計を上回る。トランプ大統領は就任後まず、軍事費増額の姿勢を明らかにした。ホワイトハウスは3月16日の2018会計年度連邦政府予算案報告で、前年比約10%の540億ドルという大幅な軍事費増額を要求した。

原油価格が下落し、西側が対露制裁を堅持する中、ロシアの軍事費はここ2年大幅な減少傾向を見せており、短期間で大幅な増加に転じることは考えにくい。だが軍事力で国益を守り、大国としての地位を維持するロシアの決意に変わりはなく、武器の全面的な刷新、世代交代という発展目標にも変わりはない。国家予算において軍事費は常に優先される。

インドの国防費は長年の高度経済成長を受けて、全体的に着実な増加傾向にある。2004年から2016年で4.5倍になり、伸び率は年平均11.43%にも達した。

日本の軍事費は2013年以降5年続けて増加し、2016年に初めて5兆円を超えた。2017年の国防予算は前年比1.4%増加した。現在日本政府は基本的に毎年2、3回補正予算を組むことで軍事費を拡大している。たとえば2016年度は国防予算の4%となる計1986億円を追加した。海上保安庁の予算も過去最高額を繰り返し更新し、2017年には約100億円の増額となる2106億円を要求した。

一方、世界で最も軍事費の伸びが速い地域は中東とアジア太平洋だ。中東地域は戦争と内乱の影響で国防予算の二桁増が続いている。米国の「アジア太平洋リバランス戦略」に伴い、米中の争いが激化し、アジア太平洋諸国は不安を募らせ、次々に軍事費を増額している。

■軍事費増加の主要用途

各国の状況を見ると、増加分の軍事費の主要用途は3つある。

第1に、軍事行動。たとえば米国はアフガニスタンとイラクの戦争で計2兆ドル以上を費やし、NATOのリビア空爆では10億ドルを費やし、対「イスラム国」の軍事行動には年150億〜200億ドルを必要としている。ロシアの三大軍種の1つであるロシア航空宇宙軍はシリアでの軍事行動に1日240万〜400万ドルを費やしている。

第2に、先進的武器の調達。たとえば米国は現在、武器の高度化と「破壊的技術」の開発を加速している。今後5年間で400億ドルを投じて水中及び対潜能力を高め、120億ドルを投じて新型B-21長距離爆撃機を開発し、560億ドルを投じてF-35ステルス戦闘機400機余りを調達する計画だ。

第3に、人件費の増加。例えばロシアは2012年に軍の人件費を3.5〜4倍と大幅に増やして、職業としての軍人の魅力を大幅に高めた。近年の中国の軍事費急増も、人件費の増加が主要な原因の1つだ。中国は2016年に軍人の定期昇給制度を設け、経済・社会発展状況に基づき、基本的に毎年または隔年で1回増額している。

■世界の軍事費増加で一層高まる安全保障情勢の不確定性

世界の軍事費の新たな増加には、大国間の軍事競争と対立の激化、及び世界と地域の安全保障情勢の悪化という大きな背景がある。主要国の軍事戦略の調整状況から見て、この増加傾向に短期間で根本的な変化が生じることは考えにくい。全体的に見ると、東欧、中東地域での米欧とロシアの軍事競争・対立は今後も続き、アジア太平洋地域での抑止と反抑止、封じ込めと反封じ込めをめぐる中国と米国の戦略的角逐も長期間続き、アジア太平洋地域及び中東地域の大国の主導権をめぐる争いは一層激しくなる恐れがある。地域の中・小国の不安感、世界と地域の安全保障情勢の不安定性、不確定性はさらにある程度高まり、軍備競争の勢いはさらにある程度強まる。世界の軍事費はすでに新たな増加期に入った。(編集NA)