6節を終えて、2勝2分2敗の勝点8で12位につける甲府。ここ3試合は負けなしと調子を上げてきていて、良い意味で周囲の予想を裏切る戦いぶりを披露している。(C)SOCCER DIGEST

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[J1リーグ6節] 川崎 1-1 甲府/4月8日/等々力
 
 優勝候補の川崎を相手に、甲府はアディショナルタイムに先制することができたけど、最後の最後で追いつかれて、引き分けに終わってしまった。
 
 それでも、アウェーで貴重な勝点1を奪った甲府の戦いぶりは見事だった。
 
 とにかく、中盤の3人のパフォーマンスが良かった。アンカーに兵働を据えて、インサイドハーフに小椋とボザニッチを並べるトライアングルが機能していた。
 
 実績十分の彼ら3人はお互いの距離感やバランスが良くて、今奪いに行くのか、ステイするかの判断も抜群で、あえて相手に持たせて罠にハメるようなディフェンスも上手い。パスワークの部分で極端にミスが少なくて、寄せられても慌てず、確実につなぐから、チーム全体に安定感をもたらすことができていた。
 
 なかでも、攻守にフル回転の働きを見せていたのが兵働だった。状況に応じて、何をすべきかを的確に選択して、それを実行する。一つひとつのプレーが気が利いていて、豊富な経験に裏打ちされた仕事ぶりだった。
 
 個人的には、兵働には頑張ってほしいと思っている。J1の清水や柏で活躍した後、J2の千葉や大分、水戸でプレーも、今季は久しぶりにJ1の舞台に戻ってきた。
 
 開幕前のキャンプで少しだけ話をして、いくつか戦術的なことを聞いたけど、すでにイメージは固まっていたと思う。モチベーションもすごく高そうだったし、楽しみにしていた選手のひとりだった。
 
 その意味では、小椋にも注目していた。ガンバを契約満了で退団して、甲府への練習参加を経て、契約を勝ち取ってみせた。本人には期するものがあったはず。そういう強い想いが、今の活躍につながっているんじゃないかな。
 
 元々はボランチだけど、持ち前のボール奪取力と高い危機察知能力は、ひとつ高い位置でも存分に生かされている。ウイングバックが上がった際にできるスペースも、しっかり埋めてみせる。そこが空いてしまうと、3バックが引き出されて、ゴール前が手薄になる。そうした状況にならないようにしているのが、小椋の献身性だと思うよ。

【川崎1-1 甲府 PHOTO】J初のドローン中継も! そして後半アディショナルタイムの激闘
 また、ボザニッチは高いキープ力を備えていて、簡単には奪われない。戦術理解度も高そうだし、さらに試合を重ねていって、コンディションが上がってくれば、相当に手強い選手になると思う。縦にも斜めにも入っていけるドリブルも強烈だった。
 
 この中盤の3人が、今季の甲府を支える屋台骨であるのは間違いない。両ウイングバックがアグレッシブに仕掛けられるのも、中央でしっかりと組み立てられているから。
 
 監督の吉田達磨さんは、ポゼッションサッカーを得意としている。その指揮官の下で、甲府は変わろうとしている。基本的には引き気味に構えているけど、自陣で粘り強く守ることができれば、前に出て行って奪いにも行ける。マイボールにすれば、シンプルにクリアすることもあれば、つなぐ時はつなぐ。そのメリハリがさらについてくれば、面白いサッカーをしそうな予感がある。
 
 もっとも、今回は川崎のようなパスサッカーに対して、上手くハマった感もある。まだリーグは序盤戦を終えたばかり。今季の甲府は、良い意味で周囲の予想を裏切っているけど、研究された時にどう対処するか。真価が問われるのはこれからだと思う。