先日のW杯最終予選のUAE戦、タイ戦でゴールを奪った久保。この活躍を続けられるか。(C)SOCCER DIGEST

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 今、日本代表で旬な選手は誰かと問われれば、3月のワールドカップ・アジア最終予選、UAE戦とタイ戦で活躍した久保裕也が挙げられるだろう。実際、その連戦の後、メディアに取り上げられる機会が非常に増えたしね。
 
 久保のポテンシャルは高い。京都の下部組織時代から有望視されていたし、23歳になった今も伸びしろはある。今年1月には、スイスのヤングボーイズからベルギーのヘントへ移籍したけど、新天地では今まで以上と言っていいほどの輝きを見せている。移籍後初戦のクラブ・ブルージュ戦で決めた直接FKや、ドリブルで持ち上がり、DFを次々にかわして奪ったメヘレン戦のゴールなどは、現地でも高く評価されたようだ。
 
 ただ、彼がプレーしているのはヨーロッパの4大リーグではなく、ベルギーリーグ。それを忘れるべきではない。日本代表として活躍したのも3月の2試合だけだ。
 
 本来、選手の評価基準にすべきなのは、どんな相手に、どんな活躍をしたかというところ。例えばヨーロッパのチャンピオンズリーグで、ビッグクラブと戦って活躍したなら、素直に賞賛できる。でも、久保がベルギーで対戦しているチームは、それほど高いレベルではないよ。スペインやイングランドのクラブと比べれば、やはり実力差がある。
 振り返れば、原口が今回の最終予選で4試合連続ゴールを奪った時も、メディアに「新エースの誕生か!?」と持て囃された。でも、彼はこの前のタイ戦、UAE戦ではたいして目立ってなかったよね。所属するヘルタ・ベルリンでも最近は特筆すべき結果を残せていない。
 
 要は勘違いしてはいけないということだよ。久保にしたって原口にしたって、まだ日替わりヒーローの域を出ていないんだ。それを彼らふたりも認識して、今後の最終予選を戦わないと、痛い目に遭うよ。
 
 ただ、彼らにはコンスタントに結果を残し、実力を証明してもらいたいと強く思っている。ヨーロッパでステップアップするため、そして日本代表で中心選手になるためには、ゴールを決めるしかないんだ。久保は昨年のリオ五輪に所属クラブの事情で参加できなかった。だからこそ、ワールドカップに出場したいという想いは強いはずだ。そういったモチベーションをパワーにして頑張ってもらいたいね。
 一方で“久保”といえば、FC東京の久保建英の話もしておきたい。名前は毎日のように新聞などで目にする。でも、彼は一体何をしたんだろう? 
 
 3月のU-20日本代表のヨーロッパ遠征では、練習試合でゴールを奪ったようだけど、主に出場しているJ3のゲームでは目に見える結果を残していないよね。それなのに、FC東京U-23の一員としてピッチに立っただけで、彼を持ち上げるメディアの姿勢は、僕には理解できないよ。
 
 確かにかつては中田や小野、中村俊など、次から次へとタレントが出てくる夢のような時代があった。でも、今の日本サッカー界は明らかに人材が枯渇している。要はメディアが取り上げるような、正真正銘のスーパースターがいないということなんだ。だらこそ、久保建英のような話題先行のニュースが増えるんだよ。“元バルサ”や“飛び級”というフレーズは、受けが良いからね。
 
 本来ならピッチで活躍した選手を正当に評価するべきだ。久保裕也の話にしてもそう。メディアは選手が良いパフォーマンスをした時こそ、それをシビアに見る目を持つべきだよ。一喜一憂せず、厳しい視点で選手のプレーを評価する。そうした考え方を持たない限り、日本に新たなエースが生まれないのかもしれないね。